リツキシマブ維持療法で濾胞性リンパ腫の再発リスクが有意に低下

リツキシマブと化学療法による寛解導入療法後のリツキシマブ維持療法で濾胞性リンパ腫の再発リスクが有意に低下【EHA2010】
八倉巻尚子=医学ライター 2010. 6. 15

学会スペシャル:第15回欧州血液学会
2010年6月10日~13日 Barcelona, Spain
抗CD20モノクローナル抗体製剤リツキシマブと化学療法による寛解導入療法で効果が認められた濾胞性リンパ腫患者において、リツキシマブによる維持療法がリンパ腫の再発リスクを有意に低下させ、有害事象による治療中止も少ないことが、国際的無作為化フェーズ3試験PRIMAの中間解析で明らかになった。6月10日から13日までスペイン・バルセロナで開催された欧州血液学会で、仏Hospices Civils de Lyon & Universite Claude BernardのGilles Salles氏らが報告した。

 リツキシマブについては、今年3月に欧州で、未治療の進行濾胞性リンパ腫の維持療法薬として適応拡大申請が行われている。同年4月には米で同様の申請が行われている。これらの申請は、PRIMA試験の結果に基づく。

 PRIMA試験は、未治療の進行濾胞性リンパ腫患者1217人を対象に、リツキシマブと化学療法による寛解導入療法で効果があった患者に、リツキシマブによる2年間の維持療法を行い、その有効性と安全性を検討した。

 寛解導入療法としてリツキシマブと化学療法を行い、奏効した患者1018人に対して、維持療法としてリツキシマブ375mg/m2を8週置きに2年間投与する群(505人)と経過観察のみの群(513人)に無作為に割り付けた。なお導入療法の化学療法には、CHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)と、CVP療法(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン)、FCM療法(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン)が用いられた。

 主要評価項目である無増悪生存(PFS)は、24カ月時点のPFS率が維持療法群で82%だったのに対し、経過観察群は66%で、ハザード比は0.50(95%信頼区間;0.39-0.64)だった。年齢(60歳未満、60歳以上)、FLIPI(濾胞性リンパ腫国際予後指標;1以下、2、3以上)、寛解導入療法(R-CHOP療法、R-CVP療法、R-FCM療法)、寛解導入療法の効果(完全寛解、部分寛解)によるサブグループ解析でも、維持療法群は良好な結果を示した。

 さらに、維持療法群では別のリンパ腫治療薬に変更するリスクが減少した(ハザード比は0.61、p<0.0003)。  維持療法後で完全奏効が見られた患者の内訳をみると、寛解導入療法後も完全奏効を維持していた患者は、維持療法群258人中209人、経過観察群190人では153人、寛解導入療法後は部分奏効もしくは病勢安定だった患者はそれぞれ49人、37人だった。

 グレード 3/4の有害事象は維持療法群が23%、経過観察群が16%と、維持療法群で多かったが、新たな有害事象はなかった。グレード3/4の好中球減少はそれぞれ4%、1%未満、グレード3/4の感染症も4%、1%未満、グレード2以上の感染症は37%、22%だった。なお、有害事象による治療中止の患者は両群とも少なく、維持療法群では10人、経過観察群は1人だった。

 これらの結果からSalles氏は、「リツキシマブと化学療法による寛解導入療法後のリツキシマブ維持療法は、濾胞性リンパ腫の治療成績を改善した。濾胞性リンパ腫の一次治療として、新しい標準治療になるだろう」と考察した。

詳しくは:
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/eha2010/201006/515580.html

“リツキシマブ維持療法で濾胞性リンパ腫の再発リスクが有意に低下” への4件の返信

  1. こんにちは
    「Harukoの濾胞性リンパ腫日記」から学ぶことが多く、ちょくちょく立ち寄らせていただいています。

    夫が濾胞性で、一年の寛解の後再発が確定していましました。
    主治医からはサルベージ療法→自家移植を薦められ、セカンドオピニオンをとったところ、R-F(リツキサン、フルダラ)を薦められました。
    大量化学療法を覚悟していただけに、大きく迷っています。以前こちらの記事で、次は自家移植ではなくR-Fをと書いておられたの思い出し、なぜそう思われているのか、藁をもすがる思いで、お聞きしたくなった次第です。

    天候不順が続いています。
    Haruko様もくれぐれもご自愛くださいませ。

  2. こんにちわ
    寛解後の再発はショックが大きいですね。 しかし、いずれは再発するので、その時のことをいろいろ考えています。

    本欄でも書きましたが、私なら自家移植はしません。 リツキサンが出てからは、自家移植の件数も減ってきていると思います。

    考え方によりますが、自家移植のような強い治療を望む方もおられる(治療したような感じがする!?)ようですが、私は入院などせずに普通の生活を続けられたら良いと考えるタイプです。

    近親で自家移植ではないですが、同様の治療を行ったのですが、とても見ていられないような苦しさです。

    R-Fは良い選択だと思います。 私の場合はもっと強い治療を提案されたのですが、R-Fが良いと逆提案したのですが、前例が無いとのことで、リツキサンの単剤になりました。 結果は良好です。 病巣は依然残ってはいますがおとなしくしていてくれればそれで良いと思います。

    現時点で自家移植をしても、いずれはまた再発しますから、その次の治療戦略を考えながらと言うことになります。 フルダラも結構副作用があるみたいです。 最後は、血液耐性が持てば、ゼヴァリンと思っています。

    遅くなりましたが、とりあえず当方の考えからです。 頑張ってください。

  3. ありがとうございました
    貴重なご意見ありがとうございました。
    主人ともよく話し合い、納得のいく治療方法を選択していきます。

    また、立ち寄らせていただきます。

    いよいよ梅雨も明けそうですね。
    暑い夏になりそうですが、がんばります。
    Haruko様も、付添い人様もご自愛下さいませ。

『濾胞性リンパ腫と共に』同行二人(因幡の牛) へ返信する コメントをキャンセル

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