ゼヴァリンの問題点

現在申請中のゼヴァリンの問題点が指摘される

 現在、再発または難治性の低悪性度または濾胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象に承認申請中の、放射性免疫療法薬イブリツモマブ(商品名「ゼヴァリン」)に関する、認可に当たっての問題点が明らかになった。国立がんセンター中央病院血液内科の渡辺隆氏が、11月5日に東京都内で開催されたNPO法人グループ・ネクサス主催のフォーラムで指摘した。

 ゼヴァリンは、抗CD20抗体イブリツモマブにイトリウム-90(90Y)が付いた構造をしており、Bリンパ球表面のCD20抗原に結合した後、β線を出し抗腫瘍効果を示す放射性免疫療法薬。イトリウム-90は純β線源のため、治療時の遮蔽等が不要なのが特徴。

 深部組織や新生血管の少ない組織など、従来抗CD20抗体の届きにくかった場所に対しても効率的な治療が可能で、再発が多く、進行すると未だ確立された標準治療のない濾胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫への効果が期待されている。

 ただし、放射性同位元素(RI)を標識した抗体は、調整後長時間安定ではないので、病院内でのRI標識が必要。欧米にはRIを扱う専門薬剤師がいるが、日本にはこうした資格は存在しない。血液内科医、核医学専門医、診療放射線技師など、関係者の協力体制が欠かせないことから、認可後、薬剤を実際に使用できる施設は限られることが予想される。

 渡辺氏は、「期待の高い薬剤だが、治療薬なので、PET用診断薬のフルオロデオキシグルコース(18F-FDG)のような提供は難しいのではないか。放射性物質を扱える人員的な問題など、国内の体制整備が急がれる」と話した。

(小又 理恵子)

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