高齢者のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫例に対するCHOP14にリツキサン併用 2008年

高齢者のCD20陽性B細胞性aggressive lymphomaに対する6または8コースのCHOP14にリツキサン併用の有無に対する無作為比較試験 (RICOVER-60) Lancet Oncol 9:105-16,2008

(考察)
6コースのR-CHOP-14療法は6コースのCHOP-14療法に比べEFSやPFSやOSを大きく改善させた。今回の検討では治療反応例に対し6コース後に化学療法を追加する必要性はなかった。今回の研究で評価した4つのregimenで、6コースのR-CHOP14療法は高齢者の治療として優先される治療法であるものと考えられた。

(はじめに)
CHOP (シクロフォスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチンおよびプレドニン併用)療法は非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する治療として一般的に使用されている。高齢者のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の予後は21日毎にCHOP療法を施行するCHOP-21療法の治療期間を14日に短縮したCHOP-14療法あるいはCHOP-21療法にリツキシマブを併用したR-CHOP-21療法の開発によって改善している。今回の無作為比較試験では高齢者のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫例に対する6または8コースのR-CHOP-14療法、6または8コースのCHOP-14療法の治療効果を評価した。

(方法)
1222 例の高齢者(61-80歳)症例が6または8コースのCHOP-14療法にリツキシマブを併用するかしないかを無作為に割りつけた。放射線療法は節外性病変の有無に関係なく診断時の巨大病変に対しては計画した。主評価項目はevent free survival(EFS)、副次評価項目は効果(response)と治療中のPD(progression during treatment)とPFS(progression-free survival)とOS(overall survival)
と毒性頻度の評価であった。

(結果)
3 年のEFSは6コースのCHOP-14群では47.2%で、8コースのCHOP-14群では53.0%で、6コースのR-CHOP-14群では66.5%で、8コースのR-CHOP-14群では63.1%であった。6コースのCHOP-14群と比較して、8コースのCHOP-14群では3年のEFSが5.8%改善し、6コースのR-CHOP-14群では19.3%改善し、8コースのR-CHOP-14群では15.9%の改善が認められた。3年のOSは6コースのCHOP-14群では67.7%、8コースのCHOP-14群では66.0%、6コースのR-CHOP-14群では78.1%、8コースのR-CHOP-14群では72.5%であった。6コースのCHOP-14群と比較して、8コースのCHOP-14群ではOSが1.7%低下し、6コースのR-CHOP-14群OSは10.4%改善し、8コースのR-CHOP-14群では4.8%改善を認めた。6コースのCHOP-14群での多変量解析で判明した予後因子で補正しても、3年のEFSは3群すべて6コースCHOP-14群よりも有意に改善していた。

Progressio n-free survival(PFS)は6コースのR-CHOP14群と8コースのR-CHOP14群で有意な改善が認められた。Overall survival(OS)は6コースのR-CHOP群でのみ有意な改善が認められた。4コース後にPRに達した症例の予後は計8コースの治療を行っても6コース群を上回らなかった。

寺田芳樹(平成20年3月10日

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