フルダラビン 2001年の記事

特集
低悪性度Bリンパ腫治療の新しいモダリティフルダラビンの表題でかかれた文章の一部

科学評論社・「血液・腫瘍科」Mar.2001 VoL.42 No.3 P222

別の有効性は follicular lymphoma に対してもっとも高く,small lymphocytic,lymphoplasmacytic lymphoma ではやや低い,とまとめられる.しかし,①比較試験はまだ観察期間が短く,②対象とした治療法のアルキル化剤の投与量は比較的少なく,③対象の予後因子も幅があり,riskごとの解析が行われていない,ということから生存に対してFLUがどこまで有効性を発揮できるかという点については,まだ不碓定といわざるを得ない.今後さらに比較試験,長期の観寮が必要である.

フルダラビンによる免疫抑制
プリンアナログにより生ずる免疫抑制は,日和見感染に注意を要する. CD4,CD8リンパ球の長期間にわたる抑制は,ペントスタチン,クラドリビンではとくに著明であり,フルダラビンでもかなりの抑制が報告されている.感染症の合併は単剤で15~19%と報告され,併用治療では有効率はさらに高くなるが,とくに1PSLを含む併用症法ではカリニ肺炎,真菌,リステリア感染の危険があり,注意を要する.NK活性については,フルダラピンによるCLLの検討では,T細胞とともにNK細胞数の減少が報告されている.

交叉耐性
フルダラビンはadriamycinに対し交叉耐性をもたないことが知られているが,プリンアナログ間の交叉耐性についてはまだ明らかではない.CLLについては,フルダラビン無効例にクラドリビンが有効であったとする報告もあるが,フルダラビンによる治療後,クラドリビンは6~7%の有効性しか示さなかったという報告をはじめ,多くは無効としている.しかし,大半は他剤による前治療のあるCLLを対象としており,未治療例については不明である.また,クラドリビン無効例にフルダラビンが有効か否かも不明である.

副作用
フルダラビンの副作用としては骨髄抑制,感染が主である.このうち血小板減少は治療後期に注意すべきである.そのほか聞質性肺炎,中枢神経症状,末梢神経障害が認められた.ラットによる検査では,フルダラビンの血液脳関門の通過性は低かったが,急性白血病を対象とした第1相試験において,フルダラビンの60mg/m2/day以上の用量で重篤な遅発生の神経症状(盲目,昏睡,錯乱など)が出現した.フルダラビンに特異な副作用としては,自己免疫現象があり,AIHA,ITP,PRCAが報告されている.

おわりに
フルダラビンは低悪性度リンパ系腫瘍に対し有望視されるプリンアナログであるが,単剤での成績はまだ充分に満足できるものではない.

併用療法は有効率を上げ,相加効果があることを示し,今後,最適な併用僚法の開発が望まれる.しかし,フルダラビンは抗リンパ球活性が強く日和見感染等に十分な注意が必要である.

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