■ ミニ移植の考え方
堀田 免疫療法はindolentリンパ腫が通常の化学療法ではなかなか治癒しないということで出てきましたが,違う意味での免疫療法として,最近,GVL効果を期待したミニ移植が注目されています。岡本先生,少し解説して下さい。
岡本 ミニ移植は非常におもしろく,いま多くの施設で盛んにやりたがっている治療法です。これがまた問題なのですが,同種移植の場合,強力な治療をして骨髄にスペースをつくって,十分な免疫抑制をかけて生着させることが不可欠であるということがずっと信じられてきて,だれもそれを疑わなかったのです。しかし動物実験のデータが蓄積されていくなかで,必ずしも骨髄毒性が強いレジメンでなくても,免疫抑制効果が非常に強ければ少なくとも免疫系は生着することが明らか
になってきました。もし免疫系が生着すればそのあとに非特異的あるいは特異的な免疫療法をする場所がつくれるので,同種免疫反応に非常に感受性の高い腫瘍(low grade lymphomaなど)では治癒を期待できるものがあるということです。これは必ずしも悪性リンパ腫に限らず,骨髄腫,ホジキン病に対しても行われています。low grade lymphomaにはミニ移植は非常にいい方法だと私は思います。