■ 遺伝子治療の可能性 【続き】

■ 遺伝子治療の可能性

堀田 最近,表面マーカーによる診断がすすみ,疾患単位が独立してきたので,今度はそれに対して特定の治療が生み出せるかという段階になっていきます。

 森先生から見て,これまでと違った発想の治療にはどんなものがありますか。

森 うまくいっているかどうかはわかりませんが,病態の抑制という点でp53遺伝子は影響力が大きいです。トライアルが他の領域でいろいろ行われていていますので,それでいい結果が出れば,遺伝子治療はたいへん興味があります。

 p53はメジャーなものの1つですが,そうしたものがあとどれぐらいあるのか。これはわれわれの守備範囲ですが,そのカタログをつくるのにあと5~10年かかると思います。

 私は臨床家ではありませんので,臨床の先生方のいろいろやってみてという苦労を味わわなくて,非常にピュアに考えてしまい,その点で少し感覚がずれてしまいますが,治せる治療法をたいへん期待しています。

堀田 最近,BCL-2のアンチセンスを治療に使おうという動きがありますね。日本でもやるかという話があるようです。ところが,BCL-2の再構成のあるものを対象というわけではなくて,それが免疫染色で高ければいいという感じになるようです。ですから,固形癌でも有効性があるという話を聞きました。

p80はどうなんですか。

森 p80を含めたキメラ蛋白質は腫瘍特異性が最も高いグループですから,時間的な余裕があったら,本当にやりたいと思います。BCL-2や,c-mycは他の細胞でもあるものなので,狙い目としてはいいと思いますが,手出しはしていません。

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