■ 抗体療法での新しい試み
堀田 他に最近の動きとして治療的対応としておもしろいことを何か耳にされましたか。
飛内 抗体療法では,キメラ型抗体の他にアイソトープをつけたモノクローナル抗体があります。キメラ型抗体よりも抗腫瘍効果が高いとの報告があり,aggressive Bリンパ腫に対してより高い有効性を発揮することが期待されています。日本でも臨床導入のための試験の準備を進めています。
堀田 実施が遅れている理由に放射線を使うということもありますね。
岡本 それには特別な病室が必要ですか。イットリウムは要らないんですよね。
飛内 イットリウムの場合は放出する放射線のほとんどがβ線のため,アメリカでは外来で注射可能です。日本でも特殊な設備が要らないと考えています。
堀田 骨髄抑制がけっこう出るという話ですね。
飛内 アイソトープをつけるとどうしても骨髄抑制が出てきますね。
話が前後しますが,キメラ型抗体療法のトピックスとして,aggressive Bリンパ腫に対するフランスのグループのスタディで,3割ぐらいの患者に奏効が得られたとする結果が出ています。日本でもいま同様のスタディを行っていますが,奏効例をわれわれの施設でも経験しています。aggressive Bリンパ種の未治療例を対象に,CHOP療法などの化学療法との併用の有効性を検証するためのrandomized
studyが欧米で少なくとも4本走っています。よい結果が得られれば,aggressive Bリンパ腫のstate of the art therapyが変わる可能性があります。
堀田 そういう流れになっていく可能性が高いですね。いまフランスやアメリカでは普通の保険診療で使っています。日本では少し遅れているという感じがします。