B細胞非ホジキンリンパ腫に対するInotuzumab Ozogamicinの有効性をフェーズ2で確認

難治性の再発性低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対するInotuzumab Ozogamicinの有効性をフェーズ2で確認【血液学会2011】 森下紀代美=医学ライター 2011. 10. 20

学会スペシャル:第73回日本血液学会学術集会 2011年10月14日~16日 名古屋

詳しくは、日経メディカル
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/jshjsch2011/201110/522056.html

 抗CD22抗体をカリケアミシンに結合させた製剤、Inotuzumab Ozogamicinは、難治性の再発性低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)患者において、臨床的な有効性が明らかで毒性も管理可能であることが、国際的な多施設共同のフェーズ2試験から示された。10月14日から16日まで名古屋市で開催された第73回日本血液学会学術集会で、名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科の小椋美知則氏が発表した。

 Inotuzumab Ozogamicinは、米国と日本で行われたフェーズ1試験において、再発/難治性のB-NHL患者に対する有効性と安全性が確認されている。
 
 今回、小椋氏らは、単群、非盲検、フェーズ2の国際共同試験を行い、リツキシマブ、リツキシマブと化学療法の併用、放射免疫療法(RIT)に難治性でCD22陽性の再発性低悪性度B-NHLの患者を対象に、Inotuzumab Ozogamicinの安全性と有効性を評価した。

 対象は、2回以上の全身療法を施行後に進行を認め、最後に行ったリツキシマブを含む治療の終了から6カ月以内、または抗CD20抗体によるRITの終了から12カ月以内に寛解がみられない、または進行を認めた患者とした。

 Inotuzumab Ozogamicinは1.8mg/m2を点滴静注で28日ごとに投与し、4サイクル行うこととした。用量や頻度は毒性に基づいて調整した。完全寛解(CR)を得た後は2サイクルまで追加投与を認め、投与は最長で8サイクルまでとした。初回投与から最長2年まで追跡した。

 81人が登録され、内訳は、濾胞性リンパ腫(FL)72人(年齢中央値62.0歳、男性51%)、辺縁層リンパ腫4人(同70.5歳、50%)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)5人(67.0歳、100%)だった。前治療のうち、最後の治療がリツキシマブだったのは、FL群71%、辺縁層リンパ腫群50%、SLL群80%だった。FL群では7%が幹細胞移植を受けていた。

 FL群で試験治療を完了したのは15%、早期の治療中止は67%で、40%は有害事象によるものだった。対象全体では、投与の中央値は3回(範囲:1~8)だった。

 患者の20%以上で報告された治療関連有害事象(TEAE)では、血小板減少と好中球減少が多く、グレード3以上はそれぞれ57%と26%だった。グレード3以上の非血液毒性は、嘔気が5%、AST上昇が4%、食欲不振や疲労感などが各3%に発現した。18人の患者について、46件の重篤な有害事象が報告されたが、このうちInotuzumab Ozogamicinに関連する事象は43%だった。

 グレード3以上の血小板減少が発現した37人では、グレード1以上に改善するのに要した平均期間は32日間だった。

 評価が可能だった74人中、全寛解率(ORR)は58%、CRは28%だった。FLの65人では、ORRは63%、CRは33%だった。寛解が得られたFLの41人中、再発または進行を認めたのは9人のみだった。FLの患者では、前治療のリツキシマブに抵抗性だった場合も49%で寛解が得られた。

 無増悪生存期間(PFS)の中央値は15.5カ月だった。FLの患者では、12カ月時のPFS率は57%、全生存率(OS)は81%だった。

 小椋氏は、「今回得られた結果は、こうした対象集団に対するInotuzumab ozogamicinの臨床開発の継続を支持するもの」と話した。

 Inotuzumab ozogamicinについては世界で4件の臨床試験が進行中で、このうち2件には日本も参加している。

以上

“B細胞非ホジキンリンパ腫に対するInotuzumab Ozogamicinの有効性をフェーズ2で確認” への2件の返信

  1. Unknown
    Haruko様
    小椋先生のCMC-544の治験でCRとなり1年間経過観察中のキンシャチです。
    Inotuzumab Ozogamicin(CMC-544)に関して記載有り難うございます。
    今回の発表はCMC-544単体の治験報告です。
    治験されて3年ほど経過しています。
    単体の治験は1.8mg/m2を点滴静注で行っていますのでこの薬の特徴の血液抑制で血小板減少と好中球減少が強く出て治験の途中でグレード3以上になりグレード1まで数値が落ちるまで治験を中断する事例が多く出ています、しかし治験登録81人の内治験として評価できる74人で寛解率58%、CR寛解率28%です。
    この治験はリツキサンの効果がなかった患者や、また自己移植された患者さん、レジメン数の多い患者さんも含まれていて決して悪い数字でないと思います。
    リツキサンの効果がなかった患者さんは49%も寛解していますのでリツキサンの恩恵を受けれなかった患者さんには朗報になると思います。
    また、先生から聞いた情報ではゼヴァリンもそうなのですがCMC-544もCRとなった患者は長期寛解期間を期待できる経過となっているそうです。
    私の受けた治験はCMC-544とR+CVPの複合でした、CMC-544は1.3mg/㎡でその分血液抑制が少なかったと思っています。

    2年ほど前よりHarukoさんのブログで勉強することが沢山ありました。感謝します。

  2. 有難うございます
    実際に治験に参加されていた方のお話ですので、非常に参考になりました。 ありがとうございました。 数字としては良い数字だと思います。 Harukoは、血液抑制がきつくでる方なので、R-CHOPですら、途中で終わりました。

    その後、一応リツキサンは効いたので、やれやれと言うところです。 何年かのうちには、また治療法を探さないと行けなくなるでしょう。

    どんどん新しい薬とか、治療法が出てくるので、とにかく頑張って先に延ばすことが希望につながります。

    今後ともよろしくお願いいたします。

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