ベキサール H18

放射性免疫療法薬「ベキサール」の開発について

tositumomab(Bexxar、ベキサール)は、抗CD20抗体に放射性物質ヨウ素131を抱合させた放射性免疫療法薬です。リツキシマブ(リツキサン)は、正常なB細胞および大半のB細胞性リンパ腫細胞に発現しているCD20抗原を標的として作用が現れる薬剤ですが、ベキサールは標的を発現している細胞のみならず、標的を発現していない隣接する腫瘍細胞に対しても放射線が作用して、抗腫瘍効果が現れることが期待される薬剤です。ベキサールは、同じ放射性免疫療法薬に属するゼヴァリンと異なりγ線を照射するため、放射線の遮蔽などに、より配慮が必要となります。

米国では、2004年にFDAによって、主に再発、難治性の低悪性度リンパ腫の患者さんを対象に承認されています。ゼヴァリンは厚生労働省への申請が終了していますが、ベキサールの国内での開発は未だ行われていません。2005年2月に国際的な医学誌である『New England Journal of Medicine』誌に、未治療の濾胞性リンパ腫の患者さんを対象とした臨床試験の結果が発表され、5年無進行生存率が59パーセントという結果が示されています。

131I-Tositumomab Therapy as Initial Treatment for Follicular Lymphoma
Mark S. Kaminski, M.D., Melissa Tuck, M.A., Judith Estes, M.S.N., N.P., Arne Kolstad, M.D., Ph.D., Charles W. Ross, M.D., Kenneth Zasadny, Ph.D., Denise Regan, B.S., Paul Kison, B.S., Susan Fisher, B.A., Stewart Kroll, M.A., and Richard L. Wahl, M.D.

グループ・ネクサスでは、ベキサールの国内での早期の開発を求め活動してきました。2006年1月に開催された厚生労働省の第7回未承認薬使用問題検討会議において、「同種の薬剤であるゼヴァリンとの有意差は明らかではない」とのワーキンググループの報告を受け、「未承認薬使用問題検討会議による迅速対応のスキームの対象とする必要はない」との結論が出されました。未承認薬使用問題検討会議の結論などを受け、グラクソ・スミスクライン社ではベキサールの国内での開発を検討してきました。グラクソ・スミスクライン社とグループ・ネクサスとで話し合いの場をもち、グループ・ネクサスからの要望に対して、グラクソ・スミスクライン社より下記の回答をいただきました

現在、放射性物質の取り扱いや運搬などの事情により、ベキサールが承認されているのは米国とカナダだけです。自由診療の形でベキサールの海外での使用について考慮なさる場合には、まずは主治医の先生とよく話し合われてください。主治医の先生が了承されましたら、主治医の先生にベキサールの治療が可能な海外の医療機関と、直接コンタクトをとっていただいてください。ベキサールの治療が可能な医療機関および連絡先につきましては、米国MDアンダーソンがんセンターの他に、グラクソ・スミスクライン社よりいくつか情報提供を受けておりますので、主治医の先生よりグループ・ネクサスまでお問い合わせください。

なお、米国でのベキサールの薬価は、レッドブック(米国での薬価収載本)によりますと、1回の治療につき31,200USドルで、日本円に換算しておよそ363万円(2006年7月22日レート)になります。また、下記回答書中のゼヴァリンとベキサールの比較臨床試験については、こちらです。

Comparative Trial Between Bexxar and Zevalin

http://homepage3.nifty.com/webpage3/nexus/topicsdetail08.html

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