炎症とCRP(C反応性タンパク)

【炎症とCRP(C反応性タンパク)】

検査で特に何らかの炎症などで病院に行かれた時にCRP検査をすることがあります。生体内に免疫や組織の破壊的病変がある場合には,血清中に肺炎球菌の『C多糖体と結合する一種のタンパク』が現れ、これをCRP(C反応性タンパク)C-reactive protein と呼びます。その後の研究で微量にCRPは正常血中に存在しますが、下のような疾患で急速に増量するので急性反応物質のひとつとして理解されています。

その疾患とは

1)ー(1) 炎症、組織破壊性疾患の診断
リウマチ熱、慢性関節リウマチなどや、後炎症性疾患これは自己免疫疾患も、あるいは外部からの細菌などによる炎症性疾患もあります。口蓋扁桃腺の炎症悪化も、ウイルス性肝炎も、肺炎、尿路感染など多彩なので各疾患は省略します。

1)-(2)組織破壊を示す疾患
心筋梗塞、ガンや悪性新生物など
特に急性炎症の場合、赤沈より陽性になる時間が早いので早期診断で意義がありますが、あくまで非特異性診断です。要するにこういう組織破壊や炎症が体内で起こってるかどうかの目安です。

2) 経過と予後
CRPの陽性度は症状の強さと平行するので反復検査で上記などの疾患の悪化、増
悪、軽快を知ることができます。治癒に傾く時は赤沈より早期に陰性化します。

3) 治療方針の決定
上記疾患に対してステロイドや抗生物質など各種薬物を投与するときにこのCRPの増減を見ることも、いつ中止するかなど判断の一つの基準にもなります。

4)CRPは赤沈と異なり、貧血や高グロブリン血症やDIC、妊娠などの影響を受け
ることが少ない。などまた赤沈と違う特徴もあります。

方法は毛細管沈降法やラテックス凝集反応など様々です。

要するに感染症、もしくは自己免疫疾患を含む病体の免疫学的血清検査です。耳鼻科でもよく急性口蓋扁桃腺炎とか急性咽頭炎などや慢性化してる疾患にも今どうなってるかなどに基準にします。

健康診断で上昇してる時は、やはりなんらかの炎症がある可能性も高いのでまず内科を受診してみてください。

急性期タンパク(急性相反応物質)
組織障害や感染が起きると、2~3日以内にタンパクを初めとする血漿成分が変化します。この血漿成分の変化を急性期反応と呼び、このような変化を示すタンパクを『急性期タンパク』と呼びます
ヒトの急性期タンパク
には、次のものがあり、
肝細胞で産生されます CRP
α1酸性糖タンパク (α1-AT)
α1アンチトリプシン
C3
血清アミロイドA (SAP)
セルロプラスミン
ハプトグロビン (Hp)
フィブリノーゲン

C反応性タンパク
=体内で何らかの原因で炎症が起きている時、血液中で増加するタンパク質。ウイルスや細菌などに感染すると一気に増える。

免疫血清学的検査の1つです。
◎肺炎球菌のC多糖体と沈降反応を呈する血清タンパクです。
◎炎症状態で急激に増量し、炎症病巣の存在や炎症病変の程度を反映します。
「血沈に似た血液検査に[CRP]というものがある。「C反応性タンパク」の略で、Cとは肺炎球菌という細菌の一部である。CRPはそれに反応するタンパクという意味。やはり感染症の目安になり、血沈より鋭敏に反応して上下する。
 血液1デシリットル中0.6ミリグラム未満が、正常値。ウイルス感染、ガン、膠原病では同10ミリグラムまで、重症の細菌感染症やリウマチでは同20ミリグラム程度、敗血症では同30ミリグラムに達することもある。」(浜六郎・医薬ビジライセンスセンター所長)

CRPとシアル酸 急性炎症で明らかに血清中に増減する多タンパク成分を急性期蛋白と呼びます。増加する代表的なものにフィブリノーゲン・CRP・α鎖蛋白があります。シアル酸は糖タンパクに含まれる糖質で、主としてα1-酸性糖タンパク、α1-アンチトリプシン、ハプトグロビンなどの総量を反映します。しがって、CRPまたはシアル酸を測定することによって、急性炎症・組織破壊がどの程度存在するかを推定出来ます。ただし、CRPはいくつかの急性炎症疾患でも明らかに増加しないことがありますが、シアル酸はほぼすべての炎症疾患で増加します。

指標 ●「膵臓β細胞の機能」を知る指標
「インスリンの前駆物質であるプロインスリンより、インスリンと等モル生成されます。」
「C反応性タンパクはインスリンに比べその代謝が遅く、又主として腎で代謝され、尿中にも多量排泄されるので、血中や尿中C反応性タンパクの測定はインスリンと同じく「膵臓β細胞の機能」を知る指標となります。」
→「糖尿病」

■心臓発作の予防
体内で起きている慢性的な炎症を抑えることが、心臓発作の予防に重要な意味を持つことを2つの米国の研究グループが突き止めた。
心臓発作では血液中のコレステロール濃度が注目されてきたが、炎症の程度を示す血中の『C反応性タンパク質(CRP)』の値を下げることも同様に重視すべきだという。

体内の慢性的な炎症と心臓発作のリスクとの間に深い関連があることは、次第に明らかになっていた。だが薬などでCRP値を抑えることが発作リスクの低下につながるのかハッキリしていなかった。

2つの研究グループは、心臓発作を起こしたことがある患者にCRP値を下げる薬を投与。発作の再発の度合いを調べた。両グループの調査結果とも、CRP値が下がった患者では再発のリスクが低くなることが分かった。
米ブリガム・アンド・ウィミンズ病院(RWH)のポール・リドカー医師は「炎症反応の抑制が心臓発作や脳梗塞のリスクを減らすという決定的な証拠が得られた」と強調。動脈硬化の原因となる血液中のLDLコレステロールの濃度と同様にCRP値を重視すべきだと話している。2005.1.10《日本経済新聞》

疾患の鑑別に必要
●機能性疾患と器質的疾患の鑑別に役立ちます
「たとえば、37℃台の微熱を訴える患者で、その他の症状や異常な身体的所見が認められない場合には、[CRP]と[赤沈]を検査します。それらが正常であれば、器質的疾患の可能性がないと臨床的に判断出来ます。」

<1>潰瘍性大腸炎と過敏性腸症候群の鑑別:
「潰瘍性大腸炎」・・・・・CRP上昇する。
「過敏性腸症候群」・・・CRP低下する。

<2>慢性関節リウマチ(RA)と変形性関節症:
「慢性関節リウマチ(RA)」・・・CRP上昇する。
「変形性関節症」・・・・・・・・・・CRP低下する。

<3>急性心筋梗塞と非定型狭心症:
「急性心筋梗塞」・・・・・CRP上昇する。
「非定型狭心症」・・・・・CRP低下する。

<4>全身性エリテマトーデス(SLE)患者が発熱したとき:
「感染症を合併したとき」・・・CRP上昇する。
「臨床的活動性のもの」・・・・CRP低下する。
CRP値 疾患名
10mg/dl以上
(強陽性) 重症細菌感染症
RAの活動期
1mg/dl以上
(陽性) 細菌感染症(RA、血管炎)
リウマチ熱 悪性腫瘍 心筋梗塞 外傷
0.1~1mg/dl
(陰性) 炎症の初期・回復期で軽症
ウイルス感染症 真菌感染症 SLE 潰瘍性大腸炎 PSS DM/PM シェーグレン症候群 白血病 脳梗塞

大腸ガン CRP値が高いと結腸ガンの危険性がアップする。
炎症に関わるタンパク質の血液検査値が高いと、大腸ガンを発症する危険が増大することを厚生労働省の研究班(主任研究者:津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の調査で判明。特に「結腸ガン」でその傾向が顕著に認められた。
研究班が注目したのは『CRP』と呼ぶタンパク質。このタンパク質は体内で炎症が起こると増大することが分かっており、細菌感染症や関節リウマチなどの診断に使われている。40~69歳の男女4万人を約11年半追跡調査した。このうち大腸ガンを発病した375人の保存血液の血中CRPを調べた。分析には高感度CRP検査を用いた。血液1㍑中のCRP・・・0.24㍉㌘未満を「1」とすると、
それ以上の場合・・・1.3~1.6倍と高かった。

高感度CRP検査は心筋梗塞の危険性予測検査にも有効。
正常値 高感度測定法で測定すると、成人の95%は、0.06mg/dl(600ng/ml)以下になる。

1.健常者でも、口腔内の衛生状態が悪いと高い傾向がある。
2.妊娠後期・産褥期には、合併症がなくても弱陽性を示すことがある。
低値を引き起こす疾患 重症肝障害で低値傾向を示す。

動脈硬化 ■高脂血症薬が心筋梗塞抑制に効果か?
「米メルクは、同社の高脂血症治療薬のシンパスタチンが『C反応性タンパク』の血中濃度を下げることを明らかにした。C反応性タンパクは、体内で炎症が起こると刺激に反応して血中に放出され、心筋梗塞を起こす引き金になるとされている。同社は英国で心筋梗塞を経験した12000人の高コレステロール患者を対象に臨床試験をする。

141人の高コレステロール患者について、シンパスタチンを服用したグループと服用しなかったグループで血中のC反応性タンパクの値を6週間観察した。シンパスタチンを服用したグループではC反応性タンパク値が下がった。この結果は2000年6月末にストックホルムの動脈硬化国際シンポジュウムで発表した。」

■リピトール
「2005、米ファイザーは、高脂血症剤「リピトール」の市販後臨床試験で、動脈硬化に関連する『C反応性タンパク質』を減らす働きがあることが分かったと発表。高脂血症剤の薬効はこれまで、コレステロール値の増減を主な指標としてきたが、今後はCRPの血中濃度も調べる必要があるという。
発表された英医学雑誌によると、悪玉コレステロール値とC反応性タンパク質が平均値より低い患者は、値が高い患者よりも動脈硬化の進展速度が有意に低下したという。現段階では、CRPの減少が動脈硬化の抑制につながる可能性が示唆されたに過ぎない

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