LDHとは?

LDHとは?

LDHとは糖の代謝に関わる酵素の一種で体中の細胞に存在し、細胞が破壊(障害)されるとLDHの値が高くなります。LDHの検査は、特に肝疾患、心疾患、筋疾患の疑いがある場合に行われます。

LDH:乳酸脱水素酵素
単位:IU/リットル(LDHの量を1リットル中の国際単位で示したものです)

● 200~400 正常値。

● 200以下
(減少) H型サブユニット欠損症(ヘテロ接合体)、阻害因子(自己抗体)で多くみられる数値です。H型サブユニット欠損症(ホモ接合体)の可能性もあります。いずれも稀な状態です。

● 400~600
(軽度の増加) 心不全、心筋症、慢性肝炎、肝硬変、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍で多くみられる数値です。皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、結合抗体の可能性もあります。

● 600~1,000
(中等度の増加) 悪性リンパ腫、悪性腫瘍、皮膚筋炎、進行性筋ジストロフィーで多くみられる数値です。急性肝炎、心筋梗塞の可能性もあります。

● 1,000以上
(高度の増加) 心筋梗塞、急性肝炎、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、悪性貧血で多くみられる数値です。

LDH(乳酸脱水素酵素)は、逸脱酵素の中でいちばん有名なものです。LDHは肝臓、赤血球、筋肉、悪性腫瘍などにあります。したがって、LDHが上がる病気には、肝炎など肝臓が悪い場合、赤血球が溶血などでこわれた場合、心臓の筋肉がこわれた心筋梗塞の場合、がんの場合などがあります。

 LDHの正常値は、200から400国際単位くらいです。白血球の悪性腫瘍である悪性リンパ腫や白血病では、600から数千まで顕著に上がります。筋肉が大量に破壊される筋ジストロフィーなどでも同じくらい上がります。心筋梗塞や慢性肝炎では、400から600くらいの中等度に上がります。少し上がることはあまりありませんが、それぞれの病気が軽度の場合などにみられます。

 LDHには5種類のアイソザイムがあり、病気によって増える種類がことなります。LDHの値が高い場合には、アイソザイムを調べて由来する臓器を推定します。

LDHの値が高い場合にはがんの可能性も

 問題はがんです。LDHの値が高かった場合、医師は悪性腫瘍が体の中にあることを頭の隅において検査します。がんでLDHの値が高くなっている場合、治療でがんが小さくなるとLDHの値は下がります。同じがんが再発すると、ふたたびLDHは上がっていきます。すなわち、LDHは腫瘍マーカーとして使えます。ただし、LDHの値が上がるがんもありますが、上がらないがんもあります。そのため、LDHの値が上がらないからといって、がんでないとはいえません。

 先にものべたように、いちばんLDHが上がるがんは、白血球のがんである悪性リンパ腫と白血病です。そのほか、さまざまながんで上がることがあるので、健康診断でLDHだけが高いときには、全身のその他のくわしい検査を受けることをお勧めします。

  Q&A
質問
LDHの値が高い場合、必ずがんなのですか?


LDHは肝臓や筋肉や赤血球の細胞がこわれた場合にも上がるので、LDHの値だけでがんであるかどうかを判断するのはまったく不可能です。がんの場合もありますし、そうでないこともあります。

質問
LDHにもいろんな種類があると聞きましたが、どういう意味ですか?


LDH1からLDH5まで、5種類のアイソザイムがあり、病気によって増える種類がことなります。そのため、LDHの値が高い場合にはアイソザイムを調べ、こわれた細胞が肝臓なのか、筋肉のなのか、赤血球なのかを確かめます。ただし、LDHアイソザイムの検査でも、がんかどうかを診断することはできません。

 LDH1とLDH2が上がる場合は、心筋梗塞、腎梗塞、溶血性貧血、悪性貧血などが考えられます。LDH2とLDH3が上がる場合には、筋ジストロフィー、多発性筋炎、白血病、消化器がんなどが考えられます。LDH3とLDH4とLDH5が上がる場合には、転移がんが考えられます。LDH5が上がる場合には、急性肝炎、うっ血肝、肝細胞がん、子宮がん、筋ジストロフィーなどが考えられます。

LDH(血清乳酸脱水素酵素)検査

LDH検査とは?

LDH検査は主に肝臓、心臓、肺、腎臓、血液、骨格筋に関する病気や悪性腫瘍を調べるために行われます。LDH(血清乳酸脱水素酵素)は全身に存在する酵素ですが、働きは同じでも分子構造や存在部位が異なるLDHが5種類(LDH1~LDH5)からなります。そのため、各LDH(LDH1~LDH5)を調べることで、どの部位で異常が起こっているのか調べることができます。

基準値 180~370IU/L(SFBC準拠法)

異常値の場合
☆LDH1とLDH2が高値
心臓、腎臓、赤血球の病気や腫瘍の疑いがあります。
(心筋梗塞、腎梗塞、溶血性貧血、悪性貧血、セミノーマなど)

☆LDH2とLDH3が高値
骨格筋の病気や白血病や悪性腫瘍の疑いがあります。
(筋ジストロフィー、多発性筋炎、消化器がん、リンパ肉腫など)

☆LDH3とLDH4とLDH5が高値
腫瘍の疑いがあります。

☆LDH5が高値
肝臓、骨格筋の病気や悪性腫瘍の疑いがあります。
(急性肝炎、うっ血性肝、肝臓がん、子宮がん、メラノーマ、筋ジストロフィーなど)

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