副作用の骨髄抑制対策
骨髄抑制として最も重要なものは白血球減少,特に好中球減少である.白血球減少は一般に抗癌剤投与後7~14 日後に発現すると言われている。
Day1 5月22日 CHOP 抗がん剤投与
Day2 5月23日 白血球 5400 LDH 1063 CRP 6.4
Day5 5月26日 白血球 4530 LDH 614 CRP 1.0
Day8 5月29日 白血球 3520 LDH 505 CRP 1.8
Day12 6月2日 白血球 420 LDH 341 CRP 1.5
Day15 6月5日 白血球 920 LDH 272 CRP 0.7
Day19 6月9日 白血球 4000予想
好中球減少時の対策の1 つとしてG-CSFの投与があり,現行の保険制度では発熱症状がない場合,好中球500/μL 未満がG-CSF の適応となっている.
しかし,G-CSF適正使用ガイドライン,ASCO ガイドラインでは無熱患者に対するG-CSF の投与は臨床的な利益が得られないことから推奨されていない.
本症例では抗癌剤投与後11 日目に白血球数が最低値を示し(WBC 500/μL),それに伴いG-CSF の投与と低菌管理が始められた.また,白血球数が最低値を示した際,発熱症状は呈していなかった.上記の通り,ガイドラインでは無熱患者に対するG-CSF の使用は推奨されていないが,day 14 における好中球は100/μL を下回っていたため,重症感染症のリスク・発熱をきたす可能性は極めて高い状態にあったといえる.このように高度の好中球減少をきたしていた本症例へのG-CSF の投与は妥当と判断した.