血球減少対策

血球減少
 放射線療法や化学療法中に,貧血,白血球減少,血小板減少が生じうる。Hctレベルが30%未満になると臨床症状が生じ,放射線療法の効果が減少する。赤血球パックの輸血が必要になるのはまれであるが,癌による疲労と赤血球の需要を管理するために遺伝子組み換えエリスロポエチンが使われる。

一般に,100~150U/kgを週3回皮下注(成人に適当な投与量は10,000U)が非常に効果的で輸血の必要性を減らしたり,あるいは輸血が必要なくなることもある。重大な血小板減少(血小板数10,000/mL未満),特に出血がある場合は血小板濃縮製剤の輸血で管理する。遺伝子組み換えトロンボポエチンが入手可能であり,血小板減少での輸血の必要性を著しく減らすと思われる。

 好中球減少(絶対好中球数1000/μL未満)は,好中球減少性の発熱が生じたり,感染を起こす危険性が高くなるため臨床に最も関連した血球減少である。顆粒球減少の患者の38℃以上の発熱は救急と考えねばならない。好中球減少の患者の評価には,血液,痰,尿,便の即時培養を含めるべきである。膿瘍の可能性のある部位(例,網膜,耳,直腸)に注目して評価を行うべきである。好中球不足のために膿瘍の認識に予期される微候が明らかでないことがありうるので,病巣の痛みや知覚過敏が初期の膿瘍の手がかりとなる。

 安定した患者は多くの施設において外来患者向けの集中レジメンで治療を受けるが,プログラムが確定されていない場合は入院が必要である。血液,痰,尿,およびあらゆる疑わしい皮膚病変の培養後すぐに広域抗生物質での治療を開始すべきである。

びまん性肺浸潤が存在する場合,特に白血病やリンパ腫の患者において,医師は鑑別診断の中にカリニ肺炎を含め,経験的治療を行うべきである。そのような浸潤が存在する場合,抗生物質レジメンには,トリメトプリム-スルファメトキサゾール,アミノグリコシド,およびセファロスポリンを含めるべきである。

静脈カテーテルを留置している患者では,グラム陽性感染症がよくみられるのでバンコマイシンを加えるべきである。熱が24時間たっても継続するようなら半合成ペニシリン(例,チカルシリン)を加えるべきである。熱が72~120時間たっても継続する場合は,病因として真菌を考慮すべきであり,治療プログラムにアムホテリシンBを加えるべきである。

 好中球減少性敗血症や発熱の治療に追加する重要な方法に,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF,または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子[GM-CSF])によるサイトカイン療法がある。G-CSF(5μg/kg/日を皮下注または点滴)は,発熱や敗血症の発症時に選択され投与されるべきである。

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