オンコビン注射用

オンコビン注射用

商品名 オンコビン注射用 メーカー 日本化薬
分類 アルカロイド製剤>抗悪性腫瘍ビンカアルカロイド>硫酸ビンクリスチン(劇)

処方目的・適応

[硫酸ビンクリスチンの適応症](1)白血病(急性白血病,慢性白血病の急性転化時を含む)/(2)悪性リンパ腫(細網肉腫,リンパ肉腫,ホジキン病)/(3)小児腫瘍(神経芽腫,ウイルムス腫瘍,横紋筋肉腫,精巣胎児性がん,血管肉腫など)/(4)多発性骨髄腫,悪性星細胞腫,乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗がん薬との併用療法

[硫酸ビンブラスチンの適応症]〈通常療法〉次の疾患の自覚的・他覚的症状の緩解→悪性リンパ腫,絨毛性疾患(絨毛がん,破壊胞状奇胎,胞状奇胎),再発または難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍,卵巣腫瘍,性腺外腫瘍)/〈M-VAC療法〉尿路上皮がん

[硫酸ビンデシンの適応症]次の疾患の自覚的・他覚的症状の緩解→急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む),悪性リンパ腫,肺がん,食道がん

[硫酸ビンクリスチン,硫酸ビンブラスチン]本剤を含むがん化学療法は,緊急時に十分に措置できる医療施設で,がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師に,本剤の有効性・危険性を十分に聞き・たずね,同意してから受けなければなりません。

使用上の注意 – オンコビン注射用

一般的注意
*硫酸ビンクリスチン(オンコビン注射用)の添付文書による
(1)使用してはいけない場合……本剤の成分に対する重いアレルギーの前歴/
脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病

(2)使用してはいけない部位……髄腔内

(3)慎重に使用すべき場合……肝機能障害/腎機能障害/骨髄機能抑制/感染症の合併/神経・筋疾患の前歴/虚血性心疾患/水痘/高齢者

(4)定期検査……重い末梢神経・筋障害がおこることがあるので,定期的に末梢神経伝達速度検査,握力測定,振動覚を含む知覚検査などを,また骨髄機能抑制など重い副作用がおこることがあるので,頻回に血液,尿,肝・腎機能などの検査を受ける必要があります。

(5)心筋梗塞など……本剤と他の抗がん薬との併用で,心筋梗塞,狭心症,脳梗塞,肝中心静脈閉塞症(VOD)などが発症したとの報告があります。

(6)その他…… 
・〈妊婦→回避〉〈授乳婦→回避・授乳中止〉
・水痘……水痘(水ぼうそう)の人が使用すると,致命的な全身状態が現れることがあるので,状態に十分注意してください。
・感染症,出血傾向……使用によって,
感染症,出血傾向の発現または悪化がおこりやすくなるので,状態に十分注意してください。
・性腺への影響……小児および生殖可能な年齢の人が使用すると,性腺に影響がでることがあります。処方医とよく相談してください。
・二次発がん……本剤と他の抗がん薬の併用により,急性白血病(前白血病相を伴う場合もある),骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告があります。
以上の一般的注意を参照

副作用の注意

重大な副作用

(1)運動性ニューロパチー(筋麻痺,運動失調,歩行困難,けいれん,言語障害など),感覚性ニューロパチー(知覚異常,しびれ感,神経痛,疼痛など),自律神経性ニューロパチー(起立性低血圧,尿閉など),脳神経障害(視神経萎縮,味覚障害,めまい,眼振などの平衡感覚障害など),下肢深部反射の減弱・消失などの末梢神経障害がおこることがあります。

(2)汎血球減少,白血球数減少,血小板減少,貧血などの骨髄機能抑制がおこることがあります。

(3)錯乱,昏睡,意識障害などがおこることがあります。

(4)食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘などの腸管麻痺がおこることがあり,麻痺性イレウス(腸閉塞)に移行することがあります。

(5)消化管出血や消化管穿孔がおこることがあり,致命的な出血や腹膜炎に至ることがあります。

(6)意識障害などを伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)がおこることがあります。

(7)アナフィラキシー様症状(じん麻疹,呼吸困難,血管浮腫など)がおこることがあります。

(8)心筋梗塞,狭心症,脳梗塞が現れたとの報告があります。

(9)難聴がおこることがあります。

(10)呼吸困難,気管支けいれんが現れたとの報告があります。

(11)発熱,せきなどを伴う間質性肺炎がおこることがあります。

(12)AST・ALT・AL-P・γ-GTPの上昇などを伴う肝機能障害,黄疸が現れることがあります。

その他副作用

(1)おこることがある副作用……末梢神経障害(垂足,背痛,複視,排尿困難など)/便秘,腹痛,口内炎,悪心・嘔吐,食欲不振,下痢/アレルギー症状(発疹など)/脱毛,発汗亢進,皮膚落屑/一過性皮質盲/多尿/体重減少,発熱
(2)検査などでわかる副作用……白血球減少,貧血,顆粒球減少,血小板減少,出血傾向/AST・ALT・AL-P・γ-GTP上昇/低血圧,高血圧

他の薬剤使用時の注意
(1)併用すると本剤の作用を強める薬剤……深在性真菌治療薬(イトラコナゾール,ミコナゾールなど),L-アスパラギナーゼ
(2)本剤との併用で血中濃度が低下する薬剤……フェニトイン
(3)併用すると相互に作用が強まる薬剤……神経毒性を持つ薬剤(白金含有の抗がん薬など)
(4)併用すると呼吸困難・気管支けいれんがおこりやすい薬剤……マイトマイシンC
(5)併用すると相互に骨髄機能抑制などの副作用が強まる薬剤・療法……他の抗がん薬/放射線照射

プレドニン錠

プレドニン錠5mg

商品名 プレドニン メーカー 塩野義 保険薬価 5mg 1錠 9.70円
海外評価 5.5点 1日量 5~60mg1~4分服
分類 ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)

処方目的・適応

副腎皮質ステロイド薬は炎症を抑えるのに使われます。その適応症は,簡単なかゆみからがんに至るまで無数にあるといえます。副腎皮質の働きが悪いためおこるアジソン病などに使用されるだけでなく,関節リウマチ,膠原(こうげん)病,ぜんそく,ネフローゼ,乾癬,薬疹,血液障害などに多く使用されます。

解説

副腎皮質から分泌されるコーチゾンというホルモンの多彩な働きが注目され,各種の副腎皮質ステロイドが合成され,臨床的に使用されています。
現在,日本で発売されている副腎皮質ステロイド薬は,酢酸コルチゾン,ヒドロコルチゾン,酢酸パラメタゾン,デキサメタゾン,トリアムシノロン,ベタメタゾン,プレドニゾロンなどです。

薬のなかでも,使い方が最もむずかしいものの一つで,細菌による感染症を誘発したり,胃・十二指腸潰瘍,糖尿病,副腎機能の低下,精神障害などをおこすことがあるので,次のことに注意します。

(1)他に適当な治療法があるときは,副腎皮質ステロイド薬はなるべく使わないようにします。

(2)本剤を服用しているときは,副作用の出現に十分に注意し,ストレスにさらされないようにし,服用中に事故にあった場合は,すぐに処方医に連絡します。

(3)急に服用をやめると,熱が出たり,頭痛,食欲不振,脱力感,筋肉痛,関節痛,ショック症状がおこることがあるので,自分勝手に服用を中止してはいけません。

使用上の注意 – プレドニン

一般的注意
*プレドニゾロン(プレドニン)の添付文書による

(1)服用してはいけない場合……本剤の成分に対するアレルギーの前歴

(2)特に慎重に服用すべき場合(原則禁忌,処方医と連絡を絶やさないこと)……有効な抗菌薬の存在しない感染症,全身の真菌症/消化性潰瘍/精神疾患/結核性疾患/単純疱疹性角膜炎,後のう白内障,緑内障/高血圧症/電解質異常/血栓症/内臓手術直後/急性心筋梗塞の前歴

(3)慎重に服用すべき場合……感染症/糖尿病/骨粗鬆症/腎不全/甲状腺機能低下/肝硬変,脂肪肝/脂肪塞栓症/重症筋無力症/高齢者

(4)食事……服用中は,カリウム,ビタミン,タンパク質に富んだもので,脂肪,糖質,塩分の少ないものをとるようにします。

(5)水痘・麻疹……本剤を服用中に水痘(水ぼうそう),麻疹(はしか)に感染すると,致命的な経過をたどることがあるので,十分な注意が必要です。

(6)急な服用中止……連用後,服用を急に中止すると,ときに発熱,頭痛,食欲不振,脱力感,筋肉痛,関節痛,ショックなどの離脱症状が現れることがあるので,自己判断で中止してはいけません。離脱症状が現れた場合は,ただちに処方医へ連絡してください。

(7)生ワクチン……服用中,あるいは服用中止後6カ月以内の場合は,どんな生ワクチンでも接種してはいけません。服用中の接種で神経障害,抗体反応の欠如がおこったという報告があります。

(8)服用中の妊娠……妊娠に気づいたら,すぐに処方医に連絡を。動物実験で催奇形(さいきけい)性が報告されています。

(9)その他……
・〈妊婦→未確立・有益のみ〉〈授乳婦→回避・授乳中止〉

副作用の注意

重大な副作用
副腎皮質ステロイド薬の代表である,プレドニゾロンやヒドロコルチゾンには以下のような重大な副作用があります。また,他のステロイド薬を処方された場合でも同様の注意が必要です。

(1)細菌などに対する抵抗力が落ちて,誘発感染症や感染症の増悪がおこることがあります。

(2)糖尿病や続発性副腎皮質機能不全がおこることがあります。

(3)消化管潰瘍,消化管穿孔,消化管出血がおこることがあります。

(4)膵炎がおこることがあります。

(5)うつ状態などの精神変調がおこることがあります。

(6)骨粗鬆症,大腿骨や上腕骨などの骨頭無菌性壊死,ミオパチーなどがおこることがあります。

(7)連用によって眼圧上昇,緑内障,後のう白内障,中心性漿液性網脈絡膜症・多発性後極部網膜色素上皮症がおこることがあります。

(8)血栓症がおこることがあります。

(9)心筋梗塞,脳梗塞,動脈瘤がおこることがあります。

(10)硬膜(こうまく)外脂肪腫が現れることがあります。

(11)アキレス腱などの腱断裂がおこることがあります。

その他副作用

(1)服用を中止し,すぐに処方医に連絡する副作用……アレルギー症状(発疹など)

(2)次回,受診した際に処方医に伝える副作用……月経異常,クッシング症候群様症状/下痢,悪心・嘔吐,胃痛,胸やけ,腹部膨満感,口渇,食欲不振,食欲亢進/多幸症,不眠,頭痛,めまい/筋肉痛,関節痛/満月様顔貌,野牛肩,窒素負平衡,脂肪肝/むくみ,血圧上昇,低カリウム性アルカローシス/網膜障害,眼球突出/白血球増多/ざ瘡,多毛,脱毛,色素沈着,皮下溢血,紫斑,線条,かゆみ,発汗異常,顔面紅斑,脂肪織炎,創傷治癒障害,皮膚・結合組織の菲薄化・脆弱化/発熱,疲労感,ステロイド腎症,体重増加,精子数およびその運動性の増減,尿路結石

他の薬剤使用時の注意

(1)併用すると本剤の作用を弱める薬剤……バルビツール酸誘導体,フェニトイン,リファンピシン

(2)併用して服用中,本剤を減量すると中毒をおこすことがある薬剤……サリチル酸誘導体(アスピリンなど)

(3)本剤との併用で作用が弱まることがある薬剤……抗凝血薬(ワルファリンカリウム),経口糖尿病薬(糖尿病用薬(スルフォニルウレア系)),インスリン

(4)併用による障害……(1)利尿降圧薬(カリウム保持性利尿薬を除く,)との併用で低カリウム血症が現れることがあります。(2)活性ビタミンD3製剤(アルファカルシドールなど)との併用で,高カルシウム尿症,尿路結石が現れることがあります。(3)非脱分極性筋弛緩薬(臭化パンクロニウム,臭化ベクロニウム)との併用で,筋弛緩作用が減弱または増強するとの報告があります。

(5)併用すると本剤の作用を強める薬剤……エリスロマイシン

(6)副腎皮質ステロイド薬(大量服用)と併用すると,シクロスポリンの血中濃度が上昇するとの報告があります。