■ ミニ移植の考え方 【続き】

■ ミニ移植の考え方

堀田 免疫療法はindolentリンパ腫が通常の化学療法ではなかなか治癒しないということで出てきましたが,違う意味での免疫療法として,最近,GVL効果を期待したミニ移植が注目されています。岡本先生,少し解説して下さい。

岡本 ミニ移植は非常におもしろく,いま多くの施設で盛んにやりたがっている治療法です。これがまた問題なのですが,同種移植の場合,強力な治療をして骨髄にスペースをつくって,十分な免疫抑制をかけて生着させることが不可欠であるということがずっと信じられてきて,だれもそれを疑わなかったのです。しかし動物実験のデータが蓄積されていくなかで,必ずしも骨髄毒性が強いレジメンでなくても,免疫抑制効果が非常に強ければ少なくとも免疫系は生着することが明らか
になってきました。もし免疫系が生着すればそのあとに非特異的あるいは特異的な免疫療法をする場所がつくれるので,同種免疫反応に非常に感受性の高い腫瘍(low grade lymphomaなど)では治癒を期待できるものがあるということです。これは必ずしも悪性リンパ腫に限らず,骨髄腫,ホジキン病に対しても行われています。low grade lymphomaにはミニ移植は非常にいい方法だと私は思います。

■ 免疫療法の位置付け 【続き】

■ 免疫療法の位置付け

堀田 濾胞性リンパ腫は通常の化学療法ではなかなかうまくいかないので,従来は放射線療法を併用する戦略でいくしかなかったのですが,最近は免疫療法もあります。免疫療法に関しては飛内先生が日本でリードして臨床試験をなさっていますが,抗CD20抗体であるIDEC-C2B8のようなものは治癒に結びつく治療としてはどのように位置づけられますか。

飛内 マウス・ヒトキメラ型のモノクローナル抗体(IDEC-C2B8,rituximab)の濾胞性リンパ腫に対する治療効果は,再発-再燃例で6割が奏効しますし,未治療例を対象にCHOP療法と併用すると奏効率が9割を超えます。私たちは進行期濾胞性リンパ腫患者の長期的予後の改善をめざして,現在CHOP療法とrituximabを併用した臨床試験を施行していますが,その答えは7年,10年フォローをしないと出てきません。

堀田 結論を得るにはまだまだ時間が要りますね。

Indolentリンパ腫の新しい治療(1) 2001年?

■ 期待される治療の可能性

堀田 indolentリンパ腫はかつてから治療をしてもしなくても予後は変わらないという考えが底流としてありました。ところが,最近,この領域で新しい動きが出てきています。すなわち抗体療法,免疫療法を含めた分子標的治療と,GVL効果を期待するallo-PBSCTです。

 最初に,indolent typeのリンパ腫の概念にはどのような疾患単位が入るのかについてどうですか。

飛内 indolent lymphomaは大半がB細胞リンパ腫で,濾胞性リンパ腫,marginal zone Bリンパ腫の2つが代表的疾患です。マントル細胞リンパ腫はaggressive lymphomaとの境界領域的な疾患です。small lymphocytic lymphomaとlymphoplasmacytic lymphomaは比較的まれです。

 臨床病態の点では,marginal zone Bリンパ腫と濾胞性リンパ腫は対称的な疾患です。marginal zone Bリンパ腫,特にMALTリンパ腫は病変が限局した症例が多く,節外臓器に発生するのに対し,濾胞性リンパ腫はリンパ節を病変の主体とし,かなりの率で骨髄浸潤を認め,進行期症例が多いことが特徴です。したがって,2つのindolent lymphomaは治療戦略が大きく異なります。MALTリンパ腫は個々の発生
する臓器によって特異的な局所療法が有効で,放射線治療や外科切除,胃の場合はヘリコバクター・ピロリの除菌療法があります。一方,濾胞性リンパ腫は?T,?U期症例は放射線治療が標準的で,III,Iv期症例は内科的な全身療法の対象になります。

堀田 森先生,病理の立場からlow grade lymphomaの治療を考えると,どういうふうに切り分けをしていったらいいとお考えですか。

森 私たちには臨床の先生と一緒にやっているスタディの情報しかありませんで,いま飛内先生が言われたことはそのとおりだと思って,納得しながら聞いていました。

 理屈から言うと,濾胞性リンパ腫の発生場所は前B細胞レベルで生じる,つまり骨髄や骨髄に非常に近いいところでタネになる細胞が生じ,これが全身を回っていたわけです。そして,リンパ腺の中に入って分化して,germinal centerに止まって,それ以上はいけないからああいう塊ができると考えられています。一方,MALTリンパ腫は局所で発生していると思われます。

堀田 MALTリンパ腫に関しては同じ扱いで化学療法をやってしまうのはよくないかもしれませんね。

飛内 indolent lymphomaの治療選択のうえで注意しなければいけないのは,indolentリンパ腫はaggressiveリンパ腫より抗癌薬に感受性が低いことで,病変のコントロールには放射線治療のほうが有効です。局所にとどまるものについては放射線治療が標準的治療で,濾胞性リンパ腫,MALTリンパ腫とも限局した1,2期の症例が対象になります。国立がんセンター中央病院に紹介されてくる患者さんの中には,このような標準的治療が行われていないケースがけっこうあります。

堀田 いったん小さくなっても,それ以上は縮小しないとか,またすぐ出てきて,次には全身に広がっているようなかたちになりますね。

森 確かに濾胞性リンパ腫の経過を追っていると,ある時点で小型細胞よりなる腫瘍の中に大きい細胞が増えてきて,それは治療をすると元の小型細胞に戻る。だから,濾胞性リンパ腫という言葉だけでなく,どういう細胞が増えているかをきっちり書かなければいけない。

フルダラビン 2001年の記事

特集
低悪性度Bリンパ腫治療の新しいモダリティフルダラビンの表題でかかれた文章の一部

科学評論社・「血液・腫瘍科」Mar.2001 VoL.42 No.3 P222

別の有効性は follicular lymphoma に対してもっとも高く,small lymphocytic,lymphoplasmacytic lymphoma ではやや低い,とまとめられる.しかし,①比較試験はまだ観察期間が短く,②対象とした治療法のアルキル化剤の投与量は比較的少なく,③対象の予後因子も幅があり,riskごとの解析が行われていない,ということから生存に対してFLUがどこまで有効性を発揮できるかという点については,まだ不碓定といわざるを得ない.今後さらに比較試験,長期の観寮が必要である.

フルダラビンによる免疫抑制
プリンアナログにより生ずる免疫抑制は,日和見感染に注意を要する. CD4,CD8リンパ球の長期間にわたる抑制は,ペントスタチン,クラドリビンではとくに著明であり,フルダラビンでもかなりの抑制が報告されている.感染症の合併は単剤で15~19%と報告され,併用治療では有効率はさらに高くなるが,とくに1PSLを含む併用症法ではカリニ肺炎,真菌,リステリア感染の危険があり,注意を要する.NK活性については,フルダラピンによるCLLの検討では,T細胞とともにNK細胞数の減少が報告されている.

交叉耐性
フルダラビンはadriamycinに対し交叉耐性をもたないことが知られているが,プリンアナログ間の交叉耐性についてはまだ明らかではない.CLLについては,フルダラビン無効例にクラドリビンが有効であったとする報告もあるが,フルダラビンによる治療後,クラドリビンは6~7%の有効性しか示さなかったという報告をはじめ,多くは無効としている.しかし,大半は他剤による前治療のあるCLLを対象としており,未治療例については不明である.また,クラドリビン無効例にフルダラビンが有効か否かも不明である.

副作用
フルダラビンの副作用としては骨髄抑制,感染が主である.このうち血小板減少は治療後期に注意すべきである.そのほか聞質性肺炎,中枢神経症状,末梢神経障害が認められた.ラットによる検査では,フルダラビンの血液脳関門の通過性は低かったが,急性白血病を対象とした第1相試験において,フルダラビンの60mg/m2/day以上の用量で重篤な遅発生の神経症状(盲目,昏睡,錯乱など)が出現した.フルダラビンに特異な副作用としては,自己免疫現象があり,AIHA,ITP,PRCAが報告されている.

おわりに
フルダラビンは低悪性度リンパ系腫瘍に対し有望視されるプリンアナログであるが,単剤での成績はまだ充分に満足できるものではない.

併用療法は有効率を上げ,相加効果があることを示し,今後,最適な併用僚法の開発が望まれる.しかし,フルダラビンは抗リンパ球活性が強く日和見感染等に十分な注意が必要である.

ザイロリック

ザイロリック (アロプリノール)

尿酸生成抑制薬である。すなわち、がん細胞が壊れると核酸からヒポキサンチンが生じ、これがキサンチン酸化酵素により尿酸へ代謝され尿中へ排泄される。尿酸は酸性では溶けにくく、アルカリ性でよく溶ける。このアルカリでの溶解度は尿酸よりヒポキサンチンでより高い。

そこで過剰に壊れた核酸代謝産物をうまく尿中へ排泄させるには、ヒポキサンチン酸化酵素をアロプリノールで阻害して尿酸の産生を抑え、また、過剰に産生されたヒポキサンチンや尿酸をアルカリ状態において溶解度を高め、それらの析出・沈着による腎への傷害を抑えることが肝要になる。

アロプリノールの保険適応は一般には痛風、ならびに高尿酸血症を伴う高血圧症であるが、小児がんを含む悪性腫瘍の治療では急速な悪性腫瘍細胞(白血病細胞など)が治療により急速に崩壊することにより生じる腫瘍崩壊症候群 tumor lysis syndromeを予防するための予防治療薬として必須のものである。錠剤で50mg錠と100mg錠がある。成人では一日200-300mgを2ないし3回に分服する。

腫瘍崩壊症候群では腫瘍量の急激な減少に伴い、高カリウム血症、低カルシウム血症、高尿酸血症、高Al-P血症等があらわれ、急性腎不全を呈する。重篤な場合、死亡例や透析が必要となった例も報告されている。血液中に大量の腫瘍細胞がある場合(例えば小児の急性リンパ性白血病では初診時の白血球数が5万/μl以上)、臓器浸潤のある例、最初から腎機能の低下がある、あるいは血清中尿酸やリン(P)値が高いといった例では初回治療開始は十分注意した上で、治療に入る必要がある。

腫瘍崩壊症候群は治療開始後12~24時間以内に高頻度に認められるので、このような例では治療直後から翌日まで尿量、尿pH, 血清中LDH, 電解質(Na, K, Cl, P, Ca)濃度及び腎機能検査(血清中クレアチニン、BUN、尿酸値など)、心電図などをチェックし、患者の一般状態を十分観察しながら治療を進める必要がある。

腫瘍崩壊症候群の発症は腫瘍細胞の薬剤に対する感受性に依存するので、治療内容が非常に強力な多併用化学療法でなくても急性リンパ性白血病ではステロイド剤単独の治療でも生じたとする報告があり、また、最近では悪性リンパ腫にリツキサンを投与した際にも生じたとする報告がある。

上記の発症機序から考え、腫瘍崩壊症候群の予防には十分な水分補給、尿のアルカリ化とアロプリノール(ザイロリック、アロシトール)投与が必要である。われわれが用いている方法は治療開始12時間まえから開始する。

(1)ソリタT3 500mlを3,000ml/m2/dayで持続点滴する。

(2)メイロン(炭酸水素ナトリウム)を0.1-0.2ml/kg/hrで持続点滴する。

(3)ダイアモックス 125mg(6歳未満)、250mg(6歳以上)を1日2回内服あるいは靜注で投与する。

アロプリノールは300mg/m2/dayを分3で内服させる。このような手段により、尿中尿酸濃度を下げ、尿のpHを7.0-7.5に保つ(通常では尿のpHは6.5以下)。なお、ダイアモックス(アセタゾラミド)は利尿薬の一つであるが、炭酸脱水酵素抑制薬で尿をアルカリ化させる作用がある。

最近、新たにRasburicaseという薬剤が出ている。わが国では未承認である。このラスブリカーゼはアロプリノールのそれとは作用機序が異なり、遺伝子組み換え尿酸酸化酵素(urate oxidase)である。すなわち、尿酸を分解する薬剤である。新薬であるため高価でこれまで使われてきたアロプリノール治療に比べると9,000倍も医療費がかかることが欠点とされている。

ソリタ-T3号G

ソリタ-T3号G

薬効 3319 その他の血液代用剤
一般名 維持液 英名 Solita-T No.3G
剤形 注射液 薬価 159.00
規格 200mL1瓶 メーカー 味の素

効能・効果 エネルギー補給、経口摂取不能又は不十分の水分・電解質の補給・維持

禁忌病名

1. 乳酸血症、アジソン病、高カリウム血症、高窒素血症、重症熱傷、乏尿 記載場所: 使用上の注意
注意レベル: 禁止

2. 高カリウム血症を伴わない腎不全、心不全、重篤な肝障害、閉塞性尿路疾患により尿量が減少、糖尿病 記載場所: 使用上の注意
注意レベル: 慎重投与

副作用等

1. 脳浮腫、肺水腫、末梢浮腫、水中毒、高カリウム血症 記載場所: その他の副作用
頻度: 頻度不明

メイロン84

メイロン84

一般名 炭酸水素ナトリウム注射液 英名 Meylon
剤形 注射液 薬価 97.00
規格 8.4%20mL1管 メーカー 大塚製薬工場

効能・効果 アシドーシス、メニエル症候群の悪心、メニエル症候群の嘔吐、メニエル症候群の眩暈、急性蕁麻疹、動揺病の悪心、動揺病の嘔吐、動揺病の眩暈、内耳障害の悪心、内耳障害の嘔吐、内耳障害の眩暈、薬物中毒<pHの上昇により尿中排泄の促進される薬物に限る>の排泄促進

禁忌病名
1. 心停止、欝血性心不全、重症高血圧症、腎障害、肺浮腫、末梢浮腫、妊娠中毒症、低カルシウム血症、低カリウム血症 記載場所: 使用上の注意
注意レベル: 慎重投与

2. 心肺蘇生時 記載場所: 使用上の注意
注意レベル: 注意

副作用等
1. アルカローシス、高ナトリウム血症、低カリウム血症、凝固時間延長、テタニー、口唇しびれ感、知覚異常、血管痛、発熱、全身冷感、不快感、貧血、悪心、徐脈 記載場所: その他の副作用
頻度: 頻度不明

2. 細胞内アシドーシス、頭蓋内出血、炎症、壊死、血管痛 記載場所: 使用上の注意
頻度: 頻度不明

配合変化
1. グループ名: カルシウム塩を含む製剤 発現事象: 沈殿
理由・原因: カルシウムイオン
投与条件:
指示: 禁止

2. グループ名: 他の注射剤<注射用水や5%ブドウ糖注射液を除く> 発現事象: 配合変化
理由・原因: 本剤はアルカリ性
投与条件:
指示: 注意

ラシックス錠

ラシックス錠

商品名 ラシックス メーカー サノフィ・アベンティス
保険薬価 4% 1g 19.30円
20mg 1錠 10.00円
40mg 1錠 17.60円 海外評価 5.5点

1日量 40~80mg1回【徐放】40~80mg1~2分服
分類 利尿降圧薬>ループ利尿薬>ループ利尿薬〔フロセミド〕

処方目的・適応
[フロセミドの適応症]高血圧症(本態性,腎性など),悪性高血圧/心性浮腫(うっ血性心不全),腎性浮腫,肝性浮腫,末梢血管障害による浮腫/月経前緊張症/尿路結石排出促進

解説
 腎臓で尿中の水分が再吸収されますが,本剤の代表である,フロセミドは,ヘンレのループ上行脚と呼ばれる部分に作用し,水分の再吸収を阻害して尿量を増やすため,「ループ利尿薬」と呼ばれています。

 エタクリン酸,ブメタニド,ピレタニドは,フロセミドとは構造的にはかなりかけはなれていますが,作用の現れ方が同じため,同様にループ利尿薬と呼ばれます。

使用上の注意 – ラシックス
一般的注意

*フロセミド(ラシックス)の添付文書による

(1)服用してはいけない場合……無尿状態/肝性昏睡/体液中のナトリウム,カリウムが
明らかに減少している人/スルフォンアミド誘導体に対するアレルギーの前歴

(2)慎重に服用すべき場合……進行した肝硬変,肝疾患,肝機能障害/重い冠硬化症または脳動脈硬化症/重い腎機能障害/本人または両親,兄弟に痛風,糖尿病のある人/下痢・嘔吐のある人/手術前/ジギタリス製剤・糖質副腎皮質ホルモン薬・ACTHまたはグリチルリチン製剤の服用中/減塩療法中/乳児,高齢者

(3)その他……
・〈妊婦→未確立・有益のみ〉〈授乳婦→回避・授乳中止〉〈危険作業→注意〉

(3)服用時間……夜間の休息が特に必要な人は,本剤による夜間の排尿を避けるため,午前中に服用するようにしてください。

(5)定期検査……連用すると電解質失調がおこることがあるので,定期的に血液や電解質(ナトリウム,カリウム,カルシウムなど)の検査を受ける必要があります。

副作用の注意
重大な副作用

(1)ショック(脈拍の異常,呼吸困難,顔面蒼白,血圧低下など),アナフィラキシー様症状(不快感,呼吸困難,全身潮紅,じん麻疹など)がおこることがあります。

(2)再生不良性貧血,汎血球減少症,無顆粒球症,赤芽球癆がおこることがあります。

(3)難聴がおこることがあります。

(4)皮膚粘膜眼症候群(スティブンス-ジョンソン症候群),水疱性類天疱瘡が現れることがあります。

(5)低カリウム血症を伴う心室性不整脈が現れることがあります。

(6)間質性腎炎がおこることがあります。

その他副作用
(1)服用を中止し,すぐに処方医に連絡する副作用……アレルギー症状(発疹,じん麻疹,発赤,光線過敏症)

(2)すぐに処方医に連絡する副作用……
貧血,白血球・血小板減少/低ナトリウム血症,低カリウム血症,低カルシウム血症,代謝性アルカローシス,高尿酸血症,高血糖症/黄疸,肝機能異常/BUN・クレアチニン上昇

(3)次回,受診した際に処方医に伝える副作用……食欲不振,下痢,悪心・嘔吐,口渇,膵炎(アミラーゼの上昇)/めまい,頭痛,知覚異常,聴覚障害/脱力感,倦怠感,起立性低血圧,筋けいれん,味覚異常,発熱

他の薬剤使用時の注意
(1)本剤との併用で作用が強まる薬剤……(1)他の利尿降圧薬→降圧作用が強まるおそれがあります。(2)セファロスポリン系やアミノ配糖体抗生物質など腎毒性のある抗生物質→毒性を強めるので,抗生物質の服用を受けるときは本剤の服用中であることを伝えてください。(3)ジギタリス製剤→心臓に対する作用を強めるおそれがあります。(4)炭酸リチウム製剤→腎臓での再吸収を促進します。

(2)本剤との併用で作用が著しく弱まる薬剤……経口糖尿病薬(トルブタミド)

(3)併用するとおこりやすい副作用……ストレプトマイシン,カナマイシンやシスプラチン(抗がん薬)など→聴力障害/副腎皮質ステロイド薬→低カリウム血症

(4)併用で注意すべきその他の薬剤……(1)サリチル酸誘導体→毒性が発現するおそれがあります。(2)尿酸排泄促進薬→作用が弱まります。(3)非ステロイド系解熱鎮痛薬→本剤の利尿作用が弱まります。(4)カルバマゼピン→症候性低ナトリウム血症がおこるおそれがあります。(5)糖質副腎皮質ホルモン薬・ACTH・グリチルリチン製剤→過剰なカリウム放出のおそれがあります。

エンドキサンP

エンドキサンP

商品名 エンドキサンP メーカー 塩野義
保険薬価 50mg 1錠 42.30円 海外評価 5.5点
分類 アルキル化剤>シクロホスファミド>シクロホスファミド(劇)

処方目的・適応

(1)次の疾患の自覚的・他覚的症状の緩解→多発性骨髄腫,悪性リンパ腫(ホジキン病,リンパ肉腫,細網肉腫),乳がん,急性白血病,真性多血症,肺がん,神経腫瘍(神経芽腫,網膜芽腫),骨腫瘍

(2)次の疾患については他の抗腫瘍薬と併用されます→慢性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,咽頭がん,胃がん,膵がん,肝がん,結腸がん,子宮頸がん,子宮体がん,卵巣がん,精巣がん,睾丸腫瘍,絨毛(じゅうもう)性疾患(絨毛がん,破壊胞状奇胎,胞状奇胎),横紋筋肉腫,悪性黒色腫

◆警告◆本剤とペントスタチンを併用してはいけません。外国で,錯乱,呼吸困難,低血圧,肺水腫などが現れ,心毒性により死亡した例が報告されています。

使用上の注意 – エンドキサンP
一般的注意

(1)服用してはいけない場合……ペントスタチンの使用中/本剤の成分に対する重いアレルギーの前歴

(2)慎重に服用すべき場合……肝機能障害/腎機能障害/骨髄機能抑制/感染症の合併/水痘/高齢者

(3)頻回に検査……重い副作用がおこることがあるので,頻回に血液,尿,肝機能,腎機能などの検査を受ける必要があります。

(4)尿量の増加……出血性膀胱炎を防ぐため尿量の増加をはかってください。

(5)水痘……水痘(水ぼうそう)の人が服用すると,致命的な全身状態が現れることがあるので,状態に十分注意してください。

(6)感染症,出血傾向……服用によって,感染症,出血傾向の発現または悪化がおこりやすくなるので,状態に十分注意してください。

(7)二次発がん……本剤を長期服用した人に,急性白血病,骨髄異形成症候群(MDS),膀胱腫瘍,悪性リンパ腫,腎盂(う)・尿管腫瘍などが発生したとの報告があります。

(8)その他……
・〈妊婦→回避〉〈授乳婦→回避・授乳中止〉〈小児→未確立〉

副作用の注意
重大な副作用

(1)血圧低下,呼吸困難,じん麻疹,喘鳴(ぜんめい),不快感などで始まるショック,アナフィラキシー症状がおこることがあります。

(2)汎血球減少,貧血,白血球減少,血小板減少,出血などの骨髄機能抑制がおこることがあります。

(3)出血性膀胱炎や排尿障害がおこることがあります。

(4)イレウス(腸閉塞)や胃腸出血が報告されています。

(5)心筋障害や心不全がおこることがあります。

(6)間質性肺炎,肺線維症がおこることがあります。

(7)皮膚粘膜眼症候群(スティブンス-ジョンソン症候群),中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)がおこることがあります。

その他副作用

(1)おこることがある副作用……アレルギー症状(発疹)/脱毛,皮膚炎,色素沈着,爪の変形・変色/黄疸/むくみ/悪心・嘔吐,食欲不振,味覚異常,口渇,潰瘍性口内炎,胸やけ,おくび,腹部膨満感,腹痛,便秘,下痢/倦怠感,頭痛,めまい,不眠,運動失調/心悸亢進/無月経/発熱,創傷の治癒遅延

(2)検査などでわかる副作用……肝機能障害,コリンエステラーゼ低下/低ナトリウム血症,乏尿による尿浸透圧の上昇,タンパク尿/心電図異常/肺水腫/低血圧/副腎皮質機能不全,甲状腺機能亢進/無精子症,卵巣機能不全/高血糖/CK上昇

他の薬剤使用時の注意
(1)本剤と併用してはいけない薬剤……ペントスタチン→錯乱,呼吸困難,低血圧,肺水腫などが現れ,心毒性により死亡した例が報告されています。

(2)併用すると相互に骨髄機能抑制などの副作用が強まる薬剤・療法……他の抗がん薬,アロプリノール/放射線照射

(3)併用すると本剤の作用を強める薬剤……フェノバルビタール

(4)併用すると本剤の作用を弱める薬剤……副腎皮質ステロイド薬,クロラムフェニコール

(5)本剤との併用で作用が強まる薬剤……インスリン,オキシトシン

(6)本剤との併用で作用が弱まる薬剤……バソプレシン

アドリアシン注

アドリアシン注

商品名 アドリアシン注 メーカー 協和
分類 抗生物質>アントラサイクリン系抗生物質>塩酸ドキソルビシン(劇)

処方目的・適応

[塩酸ドキソルビシンの適応症](1)通常療法:次の疾患の自覚的・他覚的症状の緩解→悪性リンパ腫(細網肉腫,リンパ肉腫,ホジキン病),肺がん,消化器がん(胃がん,胆のう・胆管がん,膵がん,肝がん,結腸がん,直腸がんなど),乳がん,骨肉腫,膀胱腫瘍,骨肉腫/(2)次の疾患に対する他の抗がん薬との併用療法→乳がん(手術可能例の術前・術後化学療法),子宮体がん(術後化学療法,転移・再発時化学療法),悪性骨・軟部腫瘍,悪性骨腫瘍,多発性骨髄腫,小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍,横紋筋肉腫,神経芽腫,網膜芽腫,肝芽腫,腎芽腫など)

[塩酸エピルビシン]次の疾患の自覚的・他覚的症状の緩解→急性白血病,悪性リンパ腫,乳がん,卵巣がん,胃がん,肝がん,尿路上皮がん(膀胱がん,腎盂・尿管腫瘍)

[塩酸ピラルビシン]次の疾患の自覚的・他覚的症状の緩解ならびに改善→頭頸部がん,乳がん,胃がん,尿路上皮がん(膀胱がん,腎盂・尿管腫瘍),卵巣がん,子宮がん,急性白血病,悪性リンパ腫

[塩酸ダウノルビシン]急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)

[塩酸アクラルビシン]以下の疾患の自覚的・他覚的症状の寛解および改善→胃がん,肺がん,乳がん,卵巣がん,悪性リンパ腫,急性白血病

[塩酸イダルビシン]急性骨髄性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)

[塩酸アムルビシン]非小細胞肺がん,小細胞肺がん

(1)「塩酸イダルビシン」を使用したすべての人に強い骨髄機能抑制がおこり,感染症や出血などによって,本剤に関連したと考えられる死亡例が認められています。「塩酸アムルビシン」の使用によって,本剤との因果関係が否定できない間質性肺炎の悪化,あるいは重い骨髄機能抑制に起因する重い感染症(敗血症,肺炎など)の発現による死亡例が報告されています。
(2)がん化学療法は,緊急時に十分に措置できる医療施設で,がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師に,本剤の有効性・危険性を十分に聞き・たずね,同意してから受けなければなりません。

使用上の注意 – アドリアシン注
一般的注意

*塩酸ドキソルビシン(アドリアシン注)の添付文書による

(1)使用してはいけない場合……心機能異常またはその前歴/本剤の成分に対する重いアレルギーの前歴

(2)慎重に使用すべき場合……骨髄機能抑制/肝機能障害/腎機能障害/感染症の合併/水痘/高齢者

(3)頻回に検査……骨髄機能抑制,心筋障害などの重い副作用がおこることがあるので,頻回に血液,肝機能,腎機能,心機能などの検査を受ける必要があります。

(4)尿の色……本剤の尿中排泄により,尿が赤色になることがあります。

(5)その他…… 
・〈妊婦→回避〉〈授乳婦→未確立・授乳中止〉〈低出生体重児・新生児→未確立〉
・水痘……水痘(水ぼうそう)の人が使用すると,致命的な全身状態が現れることがあるので,状態に十分注意してください。
・感染症,出血傾向……使用によって,感染症,出血傾向の発現または悪化がおこりやすくなるので,状態に十分注意してください。
・性腺への影響……小児および生殖可能な年齢の人が使用すると,性腺に影響がでることがあります。処方医とよく相談してください。以上の一般的注意を参照

副作用の注意
重大な副作用

(1)心筋障害,心不全がおこることがあります。

(2)汎血球減少,貧血,白血球減少,血小板減少などの骨髄機能抑制,出血がおこることがあります。

(3)ショックがおこることがあります。

(4)膀胱腔内注入によって萎縮膀胱がおこることがあります。

その他副作用
(1)おこることがある副作用……頻脈,不整脈,胸痛/食欲不振,悪心・嘔吐,口内炎,下痢/脱毛,色素沈着/アレルギー症状(発疹)/倦怠感,頭痛/膀胱腔内注入療法による頻尿・残尿感・排尿痛・膀胱炎・血尿/気胸・血胸(肺転移の場合)/発熱,鼻出血

(2)検査などでわかる副作用……心電図異常/肝機能障害/タンパク尿

他の薬剤使用時の注意
(1)併用すると心筋障害が強まる薬剤・療法……投与前の心臓部・縦隔への放射線照射/潜在的に心毒性を持つ抗がん薬(アントラサイクリン系薬剤など)
(2)併用すると相互に骨髄機能抑制などの副作用が強まる薬剤・療法……他の抗がん薬/放射線照射