医者は職人

医者は職人

医者、特に内科それも抗がん剤を使う医者は、本当に職人と思う。 外科みたいにすぐ結果が出る訳ではないので、薬を投与してその結果を推定して、適量を与えると言うような事がまさに職人技で行える。 抗がん剤は副作用との戦いなので、どう言う副作用が想定できて、それをどのような薬で抑えるかがポイントと思う。 病気の一般的な知識は、インターネットが発達したし、本も出版されているので、勉強したらそこらの町医者よりは良く分かるようになる。 しかし、実際の薬の投与のまさに匙加減は、マネが出来ない。

良く特効薬があって、それさえ使えばあっという間に治る、みたいな事を言う人が居るが、少なくとも抗がん剤の世界では、これは有り得ない。 薬のハンドリングと言うか、使い慣れている事が必須。 また、他の分野の医者や看護士との連係プレーになるので、全体のレベルが高くないと、いくら良いと言われる薬を持ってきても効果は発揮しない。

最近の新薬の効果があまり良くない、と言われているのには、一つには厚労省が、生存率を問題にし始めたせいが有ると思う。 確かに病気は治ったが患者は死んでしまったでは、話にならないので、最終的にどれだけ生き残れるかが問題となるはずで、その意味では正しいと思う。 反面、病気には有効でもあまりに副作用が強すぎて、その為に生存率が下がってしまう場合があって、両者を合わせると、生存率に変化が無いと言うことになってしまう。

この辺が、患者とその家族にとって非常にしんどい選択を迫られる事になってしまう。 最近の傾向は、無理に直そうとせずに、慢性病と思って病気と付き合って天寿を全うする、と言う事になりつつある。 しかし反面、治癒させたい、とも思うので、ジレンマとなってしまう。

また新薬は、いろいろやってどうしようもない患者が、特に初期の治験にボランティアで参加するので、どうしても生存率は下がってしまう。 そのためか新薬は時間が経つほど評価が上がる傾向にあるような気がする。 いずれにしても本欄でも紹介しているように、リンパ腫の新薬は次々と開発されているようなので、10年も経てばそれなりに評価も定まった新薬が登場するのではないか。 その時には、それをハンドリングする医者もノウハウがたまっていて、効果的な投薬ができるようになるだろう。

いずれにしても、慌てて危険な治療をしないことが、特に進行の遅い濾胞性リンパ腫について言える事ではないか。 気長にQOLを保ちながら、抗がん剤治療を続けていく事が重要。 一つの抗がん剤が効かなくなっても他の抗がん剤がざっと5-6種類もあるようなので、とっかえひっかえやって行くと言う割り切りが必要では?

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