クラドリビン(商品名:ロイスタチン)

クラドリビン(商品名:ロイスタチン)


【国内ではヘアリーセル白血病、および再発・再燃又は治療抵抗性の低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫に対して保険適用があります。】




クラドリビンは、がん細胞の遺伝子合成にかかわる酵素を阻害することで効果を発揮する抗がん剤です。欧米において、1980年代後半より低悪性度非ホジキンリンパ腫に対する効果が検討され、再発および難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫に対して、30~50%の奏効割合が報告されてきました。

わが国では、再発・再燃または治療抵抗性の低悪性度非ホジキンリンパ腫を対象にした開発治験で58%という高い奏効割合が確認され8)、2002年12月に「再発・再燃または治療抵抗性の低悪性度またはろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫」に対して適応承認がなされています。

海外では、未治療の低悪性度非ホジキンリンパ腫に対しても効果が検討され、単剤で80%を超える奏効割合が報告されています。中でも胃に起こった未治療のMALTリンパ腫に対しては、100%の完全寛解割合が報告され9)、一般的に化学療法に対する感受性が低いとされているMALTリンパ腫に対する有用性が期待されています。

 他の抗がん剤との組み合わせとしては、ミトキサントロン、シクロホスファミドとプレドニゾロン、リツキシマブ等との併用療法が報告されています。これらの併用療法では、再発・難治性(報告の一部には、未治療例も含まれる)の低悪性度非ホジキンリンパ腫に対して28~88%の奏効割合が報告されています。

再発した患者さんに対する救援療法としての一薬剤にとどまらず、低悪性度非ホジキンリンパ腫に対して重要な位置を占める薬剤となることが期待されています。吐き気や脱毛等の副作用の頻度は少なく、治療を受ける患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)の向上も期待できそうです。

ただ、このように、低悪性度リンパ腫に対して高い効果が認められているクラドリビンですが、注意しなければならない点もあります。がんに対する効果と同時に、正常なリンパ球にもダメージを与えてしまうため、免疫能を低下させてしまい、ヘルペス感染などの日和見(ひよりみ)感染症を引き起こしやすいこと、また、前治療歴が長く抗がん剤の蓄積量が多い場合には、白血球や血小板減少が長引く可能性があること等です。



がん情報サービスより    2006年10月1日


http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/ML_new_therapy.html


 

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