WT1ペプチドを用いたガンの免疫療法

開発の経緯
私たちの研究グループではこれまでになぜヒトは癌になるのかを研究し、WT1というタンパクがさまざまな種類のがん細胞や、白血病細胞などにたくさんあるが正常な細胞には無く、癌の発生に関与していることを明らかにしてきました。

そこでがん細胞や白血病細胞にたくさんあるWT1タンパクを目印としてこれを攻撃するようにすれば、がん細胞や白血病細胞だけをやっつける新たな治療法を開発することができるのではないかと考え、「WT1タンパクを標的としたがんの免疫療法」の研究を開始しました。WT1タンパクは、449個のアミノ酸からなるタンパクです。私たちはWT1タンパクの一部分( 9個のアミノ酸-WT1ペプチド)が癌細胞の表面にあるHLAという分子に結合して存在し、これががん細胞の目印となることを証明しました。さらにこのWT1ペプチドを使ってからだの免疫という仕組みを活性化すると白血病や癌細胞をやっつけることができることを動物実験で証明しました。

これらの研究成果をもとに2000年12月から2002年12月まで大阪大学医学部附属病院で、白血病、乳癌および肺癌の患者さんにWT1ペプチドを投与する第I相臨床試験を開始しました。その結果WT1ペプチドを用いた免疫療法は多くの患者さんには安全に投与できること、また抗癌効果を期待できることが明らかになりました。それを受けて2004年2月から多くの種類の癌の患者さんを対象に、より抗癌効果が高いと考えられる投与方法で行う第I/II相臨床試験を開始しました。

詳しくは、以下のリンクを参照ください。

http://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/~hmtonc/vaccine/index.htm

悪性リンパ腫の治療は新薬の登場で新しい時代を迎えた

★★★従来の薬では治らないと言われていた難治性のがんに力を発揮する
悪性リンパ腫の治療は新薬の登場で新しい時代を迎えた

http://www.gsic.jp/cancer/cc_01/acd/index.html

監修:小椋美知則 名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科部長
取材・文:柄川昭彦
(2008年09月号)

名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科部長の小椋美知則さん 悪性リンパ腫の治療に久々の朗報だ。従来の薬では治らないと言われていた難治性のリンパ腫に対して力を発揮する新薬が2つ登場したからだ。1つは、細胞に取り付いて放射線を放ってがんを叩く、もう1つは、経口の抗がん剤で、副作用もマイルドという点も患者さんにとってはうれしい。

難治性の悪性リンパ腫に効果的な治療薬が誕生

[悪性リンパ腫の分類]
悪性リンパ腫の治療薬として、経口薬であるフルダラ錠(一般名フルダラビン)が2007年に承認され、注射薬のゼヴァリン(一般名イブリツモマブチウキセタン)が2008年になって承認された。この2つの治療薬の相次ぐ登場によって、悪性リンパ腫の治療は新しい時代を迎えたといえそうだ。そこで、名古屋第二赤十字病院の小椋美知則さんに、これらの薬について解説していただくことにした。

「悪性リンパ腫というのは代表的な血液のがんです。白血球には、好中球、好酸球、リンパ球などの種類がありますが、リンパ球ががん化したのが悪性リンパ腫。この病気になると、主にリンパ節に腫瘍ができます」

悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類されている。かつてイギリスのホジキン医師が報告したのがホジキンリンパ腫で、それ以外は非ホジキンリンパ腫。多いのは非ホジキンリンパ腫で、特に日本ではその傾向が強い。

進行の速さによる分類もある。治療しなかった場合に、年単位でゆっくり進行するのが低悪性度リンパ腫、月単位で進行するのが中悪性度リンパ腫、週単位で進行するのが高悪性度リンパ腫だ。

さらに、細胞の種類によっても分類されている。リンパ球には、B細胞、T細胞、NK細胞があるが、たとえばB細胞ががん化したものなら、B細胞リンパ腫となる。

ゼヴァリンやフルダラの治療対象となる悪性リンパ腫は、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫と、マントル細胞リンパ腫。マントル細胞リンパ腫は、低悪性度と中悪性度の中間に位置する特殊なリンパ腫である。

「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫は、従来の薬(抗がん剤)では治らないと言われていた難治性の病気です。ゆっくり進行するのですが、従来の化学療法では治癒に至りません。一方、マントル細胞リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の5~10パーセントを占め、最も治りにくいリンパ腫と言われています」

ゼヴァリンとフルダラは、特に治りにくい悪性リンパ腫の薬として承認されたわけだ。

細胞に取り付き放射線を照射する薬

まず、ゼヴァリンという薬について解説してもらった。ゼヴァリンは分子標的薬の仲間で、抗体薬に分類されている。抗体薬は他にもいろいろあるが、この薬はきわめて特殊な作用メカニズムを持っているという。

悪性リンパ腫の治療に使われる分子標的薬としては、リツキサン(一般名リツキシマブ)がよく知られている。抗体であるリツキサンは、CD20という標識たんぱくを持つがん(B細胞リンパ腫)細胞を探し出し、そこにとりついて増殖を妨げたり、死滅させる働きをする。実はゼヴァリンも、同じようにCD20をターゲットにした薬なのだ。

「リツキサンは最初に臨床応用に成功した抗体薬ですが、マウスの抗体を、一部ヒトの抗体に置き換えてあります。ゼヴァリンは、置き換える前の、元のマウスの抗体を利用し、さらに治療効果を高めるために、イットリウム90という放射性同位元素を結合させてある薬です。この抗体がCD20を標的にしてがん(B細胞リンパ腫)細胞に取り付くと、放射性同位元素から出るベータ線という放射線が、がん細胞を攻撃する仕組みになっています」

このように、抗体の働きと放射線によって治療する薬を“放射免疫療法薬”という。分子標的薬による治療と、放射線治療を同時に、しかも標的とする細胞にのみ行う画期的治療薬である。

特殊な薬だけに、治療は慎重に行われる。ベータ線を出すゼヴァリンを投与しても、問題がないかどうかの確認が行われるのだ。そのために使われるのが、イットリウム90の代わりに、インジウム111という放射性同位元素を結合させた「インジウム111イブリツモマブチウキセタン」である。

インジウム111は、画像診断に使われるガンマ線という種類の放射線を出す。そのため、ガンマカメラによって全身の画像診断を行うと、投与した薬がどこに集まっているかが明らかになる。これは、同じ抗体を使うゼヴァリンを投与したときに、ゼヴァリンが集まる場所を示しているわけだ。

ゼヴァリンがリンパ節に集まってがん化したリンパ細胞だけを攻撃するならいいが、骨髄や正常な臓器が放射線で照射されては困る。そこで、そのような可能性が疑われる場合には、ゼヴァリンの投与は中止する。このように、ゼヴァリンは安全に治療できることを確認してから投与されることになる。

たった1回の治療で約7割が完全寛解に
ゼヴァリンによる治療は、血液の副作用が遅れて出てくるという特徴がある。

「ふつうの抗がん剤治療だと、投与後10日ほどで、白血球や血小板の減少がもっとも強くなります。白血球数が下がりすぎると感染症の危険があるので、白血球数を上げる薬を使ったり、入院させたりします。また、血小板が下がりすぎると出血しやすくなりますので、血小板輸血が必要になる場合もあります。ゼヴァリンでも白血球や血小板は下がりますが、通常の抗がん剤に比べれば、投与からかなり後になって起きてきます。ただし、きちんと検査して確認していれば、白血球や血小板が低下したときでも、外来治療が可能です」

その他の副作用は比較的軽い。通常の抗がん剤治療では、脱毛、吐き気、手足のしびれなどがよく起こるが、ゼヴァリンによる治療では、こうした症状もほとんど現れない。副作用の強さはグレード1~4で表わされるが、ゼヴァリンの投与では、現れたとしてもグレード1~2程度の副作用だという。

この薬は治療回数も独特だ。多くの抗がん剤治療では、薬を繰り返し投与する。少なくても3~4コース、平均して6コース程度。中悪性度の悪性リンパ腫の初回治療では、8コースの治療が行われることもある。それに比べ、ゼヴァリンの治療はたった1回で終わりになる。

「患者さんにとって非常に楽な治療ですが、効果は優れています。日本で行われた治験では、すでにリツキサンやCHOP療法(エンドキサン、アドリアシン、オンコビン、プレドニゾロンの4剤併用療法)などの抗がん剤治療を受けて再発した低悪性度B細胞リンパ腫の患者さんと、これらの治療でよくならなかった難治性の患者さんが対象になっています。それでも、たった1回の治療で、67.5パーセントの人が完全寛解になるという結果が出ました」

完全寛解とは、画像検査で腫瘍がほぼ完全に消失したと判断される状態のこと。腫瘍は残っているが半分以下に縮小した場合を部分寛解といい、奏効率はここまで含めて求められる。この治験における奏効率は82.5パーセントだった。

「ゼヴァリンによる治療の特徴をわかりやすくまとめると、1回ですみ、副作用が少なく、効果が高い、ということになります。治療対象は再発または治療抵抗性の低悪性度B細胞リンパ腫とマントル細胞リンパ腫ですが、どちらも治りにくい病気で、初回治療を受けた後に多くの人が再発しています。こういう患者さんにとっては、まさに朗報と言えるでしょう」

ゼヴァリンは画期的な作用機序を持つ薬だが、その効果も画期的で、大きな期待が寄せられている。今後は、再発後だけでなく初回治療として用いたり、他のタイプの悪性リンパ腫に適応を広げる、といった進展も期待されているという。

内服薬のフルダラは外来治療に適している

新しく認可されるがんの治療薬は分子標的薬が多いが、フルダラは化学療法剤で、従来の抗がん剤と同じように殺細胞作用を持つタイプの薬だ。ただ、その効果はこれまでの抗がん剤とは異なり、従来あった化学療法の限界を打ち破る抗がん剤として期待されている。

「フルダラが新しいのは、細胞分裂の盛んな中悪性度や高悪性度のがん細胞だけでなく、細胞分裂がゆるやかな低悪性度のがんにも効果がある点です。通常の抗がん剤の多くは、細胞が分裂期に入ったときに作用しますが、フルダラは分裂期に入っていない静止期の細胞に対しても、効果を発揮します。そのため、低悪性度リンパ系腫瘍に効くだろうということで開発されたのですが、まさにその通りだったのです」

フルダラは内服薬なので、外来治療を行いやすいという長所も持っている。もともと注射薬として先に開発された薬だが、悪性リンパ腫の薬として我が国で開発する段階で、外来治療が行いやすいように内服薬での開発にしたのだという。

「飲み薬のフルダラで悪性リンパ腫の治療に最初に成功したのは日本で、その治験データは世界的に評価されています」

フルダラの治療対象となるのは、再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫とマントル細胞リンパ腫だ。これらの悪性リンパ腫には、初回治療として、リツキサンとCHOP療法を組み合わせた「R-CHOP療法」が行われている。古くから行われてきたCHOP療法にリツキサンが加わることで、治療成績は明らかに向上してきた。しかし、それで治癒しているのかというと、必ずしもそうではないのだ。

「以前は、R-CHOP療法で治療して再発したら、もっと強い薬を使うしかありませんでした。そのため、副作用が大変でしたが、現在はフルダラとゼヴァリンがあるので、これらを使えます。どちらも副作用として白血球減少が起こりますが、脱毛、手足のしびれ、便秘などが起こるCHOP療法と比べると、ずっと楽ですからね」

フルダラやゼヴァリンの登場は、副作用の面でも大きな改革だったのだ。

抗がん剤治療を受けた気がしない

小椋さんは、リツキサンとフルダラの併用療法を、発売前の治験として8人の患者さんに行ってきた。全員が低悪性度B細胞リンパ腫の初回治療としてR-CHOP療法を受けていったんよくなったものの、再発した人たちだ。結果は、8人中6人が完全寛解に入った。

「患者さんたちは、最初に受けたR-CHOP療法に比べてすごく楽な治療法で、雲泥の差がある、とおっしゃっていました。患者さんの半数は女性でしたが、髪が抜けないのがうれしかった、ともおっしゃっていました。R-CHOP療法のときに経験した副作用がないのに、腫瘍が消えていくのが、患者さんたちにはうれしい驚きだったようです」

ゼヴァリンに関しては、治験で8人の患者さんに投与している。やはり、R-CHOP療法を受けて再発した人がほとんどだった。

「ゼヴァリンは、治療しているときにはまったく副作用が出ません。そのため、抗がん剤治療をしている気がしないと言われました。投与時は(治験ということもあって)入院で行いましたが、8人中7人は再入院することなく外来で治療を続けました。腫瘍が消えた人が8人中5~6人。ある患者さんは、『こんなにいい治療法なんだから、もっと広まるといいですね』と話していました」

ゼヴァリンを使うには、放射性同位元素を抗体部分に結合させる調剤作業を、それぞれの医療機関で行う必要がある。また放射線を出す薬なので、放射線の取扱いに習熟していることも大切だ。そこで、日本アイソトープ協会の講習を受けた施設でないと、ゼヴァリンは投与できないことになっている。そうしたこともあって、ゼヴァリンによる治療を行える医療機関は、現在のところ非常に限られている。ただし、これは順次増えていく予定だ。

また、ゼヴァリンは特殊な薬なので、治療を受ける患者さんにも心得ておいてほしいことがある。治療前に十分な説明を受け、いったん受けると決めたら重大な理由無く変更しないことだ。なぜなら、イットリウム90の半減期は64時間なので、ゼヴァリンは保存しておくことができない。いったん製造したら、決められた日に投与しなければ、そのゼヴァリンは破棄することになるのである。

「治療を受けると決まって治療日程が決まったら、予定の日に確実に投与できるようにしてください。こうした点が、普通の薬とはまったく違います」

ゼヴァリンは注文が入ってからオランダとフランスの工場で放射性同位元素の生産が始まり、日本に空輸されて製剤化されるのだという。気楽にキャンセルできる治療でないことは、よく理解しておきたい。

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濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ維持療法は寛解維持に有効

濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ維持療法は寛解維持に有効

 リツキシマブ単剤療法でコントロールできた濾胞性リンパ腫(FL)患者に対して、同じくリツキシマブによる維持療法を行うことは、長期的な寛解維持に有効であるとの結果が明らかになった。5月29日から6月2日までオーランドで開催された第45回米国臨床腫瘍学会・年次集会(ASCO2009)で、試験グループのSwiss Group for Clinical Cancer Researchを代表して、スイスOncology Institute of Southern SwitzerlandのM. E. Ghielmini氏が発表した。

 これは、スイスで実施されたオープンラベル多施設試験「SAKK 35/98」試験の結果だ。この試験では、202人のFL患者に寛解導入のためにリツキシマブ375mg/m2を週1回ずつ計4回投与し、その結果、良好なコントロール(CR、PRおよびSD)が得られた151人のみを対象として観察群と維持療法群に無作為に分けた。観察群には投薬を行わず、維持療法群にはリツキシマブ375mg/m2を2カ月毎に4回投与して、その後は経過を最低5年間観察した。

 長期観察(観察期間の中央値9.4年)の結果、無病生存率は一貫して維持療法群の方が観察群よりも高く(p=0.0007)、維持療法群は8年後も25%が寛解を維持していた(観察群は約4%)。また、寛解導入時に奏効が得られた例(CR/PR)に限れば、8年後に35%が寛解を維持しており、化学療法を初めて受けた奏効例では8年後に45%が寛解を維持していた。

 長期的な寛解維持に影響を及ぼす予後因子について多変量Cox回帰分析で評価したところ、有意だったのはリツキシマブ維持療法のみで(ハザード比0.6、p=0.007)、過去の化学療法の有無、疾患の病期、Fc受容体RIIIAの158位の表現型(VV型か否か)などはいずれも有意な影響を及ぼさなかった。

 安全性の点でも、維持療法による長期毒性の増加は認められなかった。

 以上の結果から、Ghielmini氏は、「FL患者に対する寛解導入後のリツキシマブ維持療法は、以前の化学療法の有無、病期、Fc受容体の表現型に関わらず、無病生存率や寛解維持を向上させる」と結論づけた。

 このSAKK 35/98試験の成績を受けて、Ghielmini氏らは現在、寛解導入後のリツキシマブの維持療法を今回と同じく2カ月毎に4回行う「短期維持療法」群と、再発時まで2カ月毎の投与を続ける「長期維持療法」群を比較するSAKK 35/03試験を実施している(被験者登録は2007年11月に終了。今回のASCO2009で安全性について発表)。

(中村 克也=医学ライター)

2009年6月 4日

http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/post_1105.html

非ホジキンリンパ腫対象のフェーズ3、やっぱりピクサントロンが有効

非ホジキンリンパ腫対象のフェーズ3、やっぱりピクサントロンが有効

2009. 6. 26

 米Cell Therapeutics社(CTI社)は6月22日、ピクサントロンの臨床開発に関する最新データを公表した。非ホジキンリンパ腫に有効であることが改めて示された。詳細は、カナダOttawa総合病院のRichard Van der Jagt氏らが、環太平洋リンパ腫会議2009で報告した。

 ピクサントロンは、アントラサイクリンの抗癌活性は維持しながら、心臓毒性を低減することを目指して設計された薬剤。CTI社はフェーズ3 EXTEND試験(PIX301)で主要評価項目が達成されたことをすでに報告している。今回は、この試験の追跡データとサブグループ解析の結果が公表された。

 対象となったのは、複数の薬剤を併用する化学療法を二通り以上受けている再発性または難治性の悪性非ホジキンリンパ腫の患者で、アントラサイクリンに対する感受性は維持している140人。無作為にピクサントロンの単剤投与(70人)、または、この種の患者に標準的に用いられる化学療法薬の単剤投与(70人)に割り付けた。

 完全寛解(CR)または不確定完全寛解(CRu)を達成した患者の割合は、ピクサントロン群では70人中17人(24%)、標準治療群では70人中5人(7%)と、ピクサントロン群で有意に高かった(p=0.009)。

 ピクサントロン群の全奏効率(治療群に占めるCR、CRu、部分寛解のいずれかを達成した患者の割合、70人中28人で40%)は、対照群のそれ(70人中10人、14.3%)を有意に上回った(p=0.001)。

 サブグループ解析を行ったところ、あらかじめ設定されたすべてのサブグループにおいて、奏効率はピクサントロン群のほうが高かった。65歳以上の患者では、ピクサントロン群のCRかCRuの人の割合(CR/CRu)は26.1%(23人中6人)、客観的奏功率(ORR)は47.8%(23人中11人)、対照群ではCRやCruの達成者はなく、ORRは5.6%(18人中1人)だった。

 直近の治療を受けてから再発を見た患者グループでは、ピクサントロン群のCR/CRuは28.8%(28人中8人)、ORRは50%(28人中14人)。対照群はそれぞれ6.7%(30人中2人)と16.7%(30人中5人)。

 先の治療に反応しなかった難治性の患者グループでは、ピクサントロン群のCR/CRuは15%(40人中6人)、ORRは30.0%(40人中12人)、対照群ではそれぞれ5.0%(40人中2人)と12.5%(40人中5人)。

 国際予後指数(IPI)が2以上の患者グループでは、ピクサントロン群のCR/CRuは18.0%(50人中9人)、ORRは32%(50人中16人)、対照群はそれぞれ5.9%(51人中3人)と15.7%(51人中8人)だった。

 この試験の追跡は現在も進行中だ。

 環太平洋リンパ腫会議2009では、無作為化フェーズ3(PIX302)の追跡結果と、フェーズ2(AZA106)試験の結果も報告された。PIX302は、再発した緩慢性非ホジキンリンパ腫の患者を対象に、ピクサントロン+リツキシマブとリツキシマブ単独の有効性を比較した試験で、ピクサントロンの追加によりCR(ピクサントロン追加群が35%、リツキシマブ単剤群が11%)、ORR(同75%と33%)、無増悪期間(同13.2カ月と8.1カ月)がすべて改善した。

 AZA106は、多発性再発を見た緩慢性非ホジキンリンパ腫患者に、ピクサントロン+フルダラビン+リツキシマブ(FPD-Rレジメン)を投与した試験で、高いCR/CRu(70%)とORR(89%)が見られた。ほぼ全員に、第一選択薬としてCHOP-R(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロンとリツキシマブを用いる)が用いられていた。

 CTI社は2009年4月、米国で、再発性または難治性の悪性非ホジキンリンパ腫を対象とするピクサントロンの承認申請の段階的提出(rolling submission)を開始している。

(大西 淳子=医学ライター)

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/200906/511330.html

リツキサン維持療法の 2順目開始

7月6日 リツキサン維持療法の 2順目投与を開始。 前回は1月だったので、予定通り半年後となる。 1回/週で4回。 今回は半年ぶりだったので、最初はゆっくりの投与で、全体で4時間かかった。 来週はもう少し早くなると思う。

リツキサン維持療法による白血球低下は底を打ったよう

前回(1月)のリツキサン維持療法による白血球低下は底を打ったようだ。
今日は2350/ulで前回の6月8日より少しだけ増えた。LDは222、可溶性ILも横ばいということで、予定通り7月にまた1週間毎に4回続けてリツキサンを入れる、リツキサン維持療法をすることになった。

それによって白血球低下がまた起こるかもしれないが、遅遠性だから、すぐには起きないし、やってみないとわからない。要するに、抗癌剤による低下と違って、そんなにビクビクしないでもよいとの話だった。

リツキサンによる白血球減少の副作用

リツキサンは、副作用が少ないことが有利な点ですが、やはり少しは副作用があるようです。 白血球の一部であるリンパ球を叩くので、免疫抑制や白血球減少が生じるようです。

患者のためのがんの薬事典 ★★★リツキサン(一般名 リツキシマブ)
(1)B細胞型の非ホジキンリンパ腫に有効な新しい薬
監修:増田道彦 東京女子医科大学血液内科講師 文:平出 浩
(2005年02月号) より一部引用

リツキサンは悪性リンパ腫の一つである非ホジキンリンパ腫に効果のある薬です。
ほかの薬と組み合わせて治療を行うR-CHOP療法は、標準治療になりつつあります。
リツキサンの登場で非ホジキンリンパ腫の治療は新たな段階になったといえます。

副作用は発熱、悪寒、虚脱感など
リツキサンの主な副作用には発熱、悪寒、虚脱感、かゆみ、頭痛、ほてり、血圧上昇、頻脈、多汗、発疹などがあります。これらは通常、比較的軽微な副作用です。

血液に関する異常では、白血球の減少、好中球の減少、血小板の減少などが現れることがあります。

重篤な症状としては、アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害などの副作用があります。まれではありますが、肺浸潤や心筋梗塞、心室細動などを引き起こし、亡くなったケースもあります。

リツキサンの副作用の多くは、初めて行う治療中に起こり、治療が終わるころまでか、遅くとも1日経てば、ほとんど症状がなくなるか、軽くなります。2回目以降の治療では、副作用は減少しますが、2回目以降に初めて副作用が現れることもありますし、それまでと異なる副作用が現れることもあります。

副作用に対する予防法として、リツキサンの点滴を行う前に、抗ヒスタミン剤と解熱鎮痛剤を内服します。

■リツキサンの副作用 一般的な副作用
・発熱、悪寒、かゆみ、頭痛、ほてり、血圧上昇、頻脈、多汗、発疹、白血球減少、好中球減少、血小板減少など
重い副作用
・アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害など

http://www.gsic.jp/medicine/mc_01/rituxan_1/index.html

インフルエンザ騒動が漸く収まって

インフルエンザ騒動が漸く収まって、病院へ行くのにも一安心。
隣の校区の小学校でも患者が発生して、一時はみんながマスク姿だった。

さて今日の血液検査ではLDは221と横ばい。可溶性ILの先月の数値が出てい
て、300台で問題なしだったが、白血球が2030/ulでかなり下がった。
1月にしたリツキサンの骨髄抑制の影響で、B型なのでリツキサンが効くからだ
ということだが、まだ下がる可能性があるといわれると心配になる。
好中球が50%を占めているから大丈夫だといわれるが。。。

来月もこのまま病気の進行がなかったら、リツキサン維持療法を7月にまたする
との事。するのはいいけれど、白血球が一段と下がるのではないかと不安。
抗癌剤ではないから好中球の割合が減らないところはいいけど。

また1ヶ月経って、診察日

また1ヶ月経って、診察日。
今は全く普通の生活ができていて、時々背中が痛い時があるくらい。
さて今日の血液検査ではLDは240 で上限値内だったが、
白血球が2940/ul, 血小板が12.2万/ulと1ヵ月前よりまだ低くなっているのが
気になる。

Dr.はリツキサンの抑制が半年程続くからと説明したけれど、
なんとなくすっきりしない感じがする。
先回の可溶性ILが出ていて、406 U/ml でこれは良かった。

また1ヵ月先にどういう数値が出るかわからないけれど、
とりあえず、今はまだ小康状態という結論かな。

PET検査時に注意する事

PET検査の結果にはいろいろ誤差が含まれます。 その注意点を抜粋しました。
オリジナルのホームページは写真が豊富にありますので、ご覧ください。

  2.3 治療による修飾
 悪性リンパ腫では多くの場合に化学療法が施行される。化学療法後には、赤色髄に一致してFDGの集積亢進像を認めることがあるが(図6)、G-CSF製剤の投与後には特にびまん性の骨髄への高集積が見られ(4, 5)、 骨髄病変の評価が不可能となるため、検査時期としては避けたい。また化学療法後にG-CSF製剤が投与されていない場合でも、びまん性の集積を認めることは多く、骨髄のrebound現象を見ているようである。一方、化学療法直後には、viableな細胞が残存しているにもかかわらず、 FDGの集積が低下する可能性も示唆されている。放射線治療後の評価では、炎症細胞の浸潤による偽陽性に注意が必要である。

図6 赤色髄の分布と一致するように骨髄の著明な集積亢進が見られる。(A)は検査前日にG-CSFが投与されており、(B)は化学療法中であった。(C)でも骨髄に一致して軽度の集積亢進を認め、前回の検査時には見られなかったこと、化学療法はされていないことなどから骨髄浸潤を疑い、生検にて確定した。

写真を含めて詳しくは、以下をご覧ください。
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/special/PET/AR/AR02.html#P3