3月9日に1年ぶりにPetCTを撮った

3月9日に1年ぶりにPetCTを撮ったので、その結果を診てもらった。
Pet撮影は発病以来5回目になる。 今日の結果は1年前とさほど違いがなく、
予想通りだった。

2008年12月に再燃が確認されたところ、(右腎臓の上、大動脈横のリンパ節)に
1ヶ所リンパ腫がある。SUVという腫瘍の活発度を表す数値は1年前の3.26から
2.74に少しだけ下がっていた。

リツキサンだけでは消滅させるのはもともと難しいので、これで良しとなければ
ならないのだろうと思う。

今日の血液検査もCRP<0.2 LDH215 白血球34.3/ulで安定していた。

もう1回、8月にリツキサン維持療法をするので、今年中は大丈夫そうだが、
問題はそれからどうなるかだと思う。体重はなぜか下半身中心に病気前より2キ
ロほど、増えてしまったが、体力をつけるように努めないといけない。。

3回目のリツキサン維持療法終了

2月9日に 3回目のリツキサン維持療法が終わってから最初の診察。
体調良好、血液検査の結果、異常なし。

白血球も4400/ulあるので大丈夫。

昨年の3月からPet-CTを撮っていないので、1年振りで撮ることに。
1ヶ月後の診察日に結果が分かるように予定を入れてもらう。

血液・腫瘍科 59巻4号

遅くなりましたが、雑誌の血液・腫瘍科 59巻4号の概要をお知らせします。 詳細は雑誌をご購入ください。 通信販売で入手できます。 本号の読み物は、この分野の第一人者の 国立がんセンター中央病院・第一領域外来部 飛内賢正先生の「血液腫瘍に対する新薬開発の新たな展開:overview」です。 主にはリツキサンでで代表される抗CD20抗体の次の世代のCD22に関しての先端新薬開発情報とベンダムスチンに関して少し説明があります。 別に、京都府立医科大学・血液・腫瘍内科学 谷脇 雅史先生の 「リンパ系腫瘍治療におけるベンダムスチンの役割」の記事もあります。

購入はこちらからどうぞ。
http://www.kahyo.com/new-on.html
http://www.kahyo.com/baku-on.html

血液・腫瘍科 59巻4号(2009年10月発行)

特集 血液腫瘍に対する新薬開発の新たな展開

血液腫瘍に対する新薬開発の新たな展開:overview 国立がんセンター中央病院・第一領域外来部 飛内賢正

骨髄異形成症候群に対するepigenetics治療:アザシチジンとデシタビン 国立がんセンター中央病院・血液内科 小林幸夫

CMLに対する新規チロシンキナーゼ阻害剤:ニロチニブとダサチニブ 浜松医科大学・腫瘍セ
ンター 大西一功

イマチニブ耐性CMLに対する新規チロシンキナーゼ阻害剤バフェチニブ(INNO-406)の開発:現状と問題点 佐賀大学・血液・呼吸器・腫瘍内科 木村晋也

前駆 T 細胞腫瘍治療への新規プリン誘導体ネララビンの臨床導入と今後の展望 国立病院機構名古屋医療センター・小児科 関水匡大,ほか

リンパ系腫瘍治療におけるベンダムスチンの役割 京都府立医科大学・血液・腫瘍内科学 谷脇雅史,ほか

カリケアマイシン抱合抗CD22抗体による B 細胞性リンパ腫の治療研究 癌研有明病院・血液腫瘍科 照井康仁

mTOR阻害剤の臨床導入とリンパ系腫瘍の治療 名古屋第二赤十字病院・血液・腫瘍内科 内田俊樹

話 題

悪性リンパ腫に対する治療途中および治療終了時に行うFDG-PET タフツ大学・臨床エビデンス統合センター 寺澤晃彦

Secondary CD5+ diffuse large B-cell lymphomaとは何か 国立がんセンター中央病院・臨床検査部 前島亜希子

皮膚リンパ腫:改訂WHO分類と診療ガイドライン 岡山大学・皮膚科学 濱田利久

チロシンキナーゼ阻害剤によるgastrointestinal stromal tumor(GIST)治療の新たなる展開:イマチニブとスニチニブ 大阪大学・消化器外科学 西田俊朗

加齢性EBV関連 B 細胞リンパ増殖異常症:高齢者EBV陽性ホジキンリンパ腫との比較 信州大学・臨床検査部 浅野直子,ほか

解 説

血液悪性腫瘍疾患における真菌感染症のリスクファクターとその対策 慶應義塾大学・血液内科 岡本真一郎

MicroRNAとがん:“fine tuner”を用いた新たながんの診断と治療 国立がんセンター研究所・がん転移研究室 小坂展慶,ほか

白血病幹細胞の細胞生物学 九州大学・遺伝子・細胞療法部 岩浩己,ほか
IL-6, IL-6受容体と自己免疫疾患 中外製薬株式会社・学術情報部 大杉義征

2010年(H22)を無事に迎えた

2010年(H22)を無事に迎えた。

三が日が済んで、早速4日からリツキサン点滴のため病院の外来治療センターに、毎月曜日に4回通院。 ここは外来で抗癌剤点滴をする人ばかりが来るところ。

私と同じ病気とは限らないが、癌には違いない。 たまに若い患者さんがいるとかわいそうにと思ってしまうが、たぶんそんな同情はされたくないに違いない。 でも医学はそんな人のためにあって欲しいと思う。 今日でやっと週1の4回目が終わり、完了。

今年もこのリツキサン維持療法でなんとか持ちますように!

ベンダムスチンとリツキシマブの併用はR-CHOP療法よりも良い

ベンダムスチンとリツキシマブの併用はR-CHOP療法よりも非ホジキンリンパ腫患者の無増悪生存期間を延長 八倉巻 尚子=医学ライター

 低悪性度の非ホジキンリンパ腫で、ベンダムスチンとリツキシマブによる一次治療は、標準的治療であるR-CHOP療法よりも無増悪生存期間が有意に長く、完全寛解率も高くなることが明らかになった。ドイツで行われた多施設共同無作為化フェーズ3試験であるStiL試験の最終結果によるもの。成果は、12月5日から8日までニューオーリンズで開催された第51回米国血液学会(ASH 2009)で、ドイツUniversity Hospital in GiessenのMathias J. Rummel氏(写真)が発表した。

 ベンダムスチンは、ドイツでは非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病などの治療薬として使用されており、米国では2008年3月に慢性リンパ性白血病治療薬として承認された。日本では、低悪性度非ホジキンリンパ腫を対象とした臨床試験が行われている。

 StiL (Study Group Indolent Lymphomas)試験は、CD20陽性の非ホジキンリンパ腫患者549人を対象に、一次治療としてベンダムスチンとリツキシマブを投与する群(R-ベンダムスチン群)とCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)とリツキシマブの併用療法を行う群(R-CHOP群)に無作為に割り付けた。試験の主要目的は、R-ベンダムスチン群のR-CHOP群に対する非劣性を検証することであった。

 R-ベンダムスチン群では、4週間置きにベンダムスチン90 mg/m2を第1日目と第2日目に投与し、リツキシマブ375mg/m2は第1日目に投与した。R-CHOP療法は3週間置きに行い、2群とも最大で6サイクル継続した。

 非ホジキンリンパ腫のタイプは、濾胞性リンパ腫が54%、マントル細胞リンパ腫は18%、辺縁帯B細胞リンパ腫が13%、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症は8%、小リンパ球性リンパ腫(SLL)が4%などだった。

 評価可能だった513人において、観察期間中央値34カ月で、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、R-ベンダムスチン群が54.9カ月、R-CHOP群が34.8カ月と、20カ月の違いが見られた。ハザード比は0.57(95%信頼区間;0.43-0.76)、p値は0.00012となった。また完全寛解率がそれぞれ39.6%、30.0%と、R-ベンダムスチン群で有意(p=0.0262)に高く、寛解率はそれぞれ92.7%、91.3%だった。

 タイプ別でもPFSはほぼ同じ傾向を示し、濾胞性リンパ腫(p=0.0281)、マントル細胞リンパ腫(p=0.0146)、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症(p=0.0024)では、有意にR-ベンダムスチン群が良好な結果を示した。

 有害事象はR-CHOP群で発現率が高く、グレード3/4の白血球減少がR-ベンダムスチン群では12.1%であるのに対し、R-CHOP群は38.2%、好中球減少がそれぞれ10.7%、46.5%、G-CSFの投与がそれぞれ4.0%、20.0%だった(いずれもp<0.0001)。また知覚異常が全グレードでR-ベンダムスチン群が18人、R-CHOP群は73人、口内炎が16人、47人、感染症が96人、127人、また脱毛はR-CHOP群で多かった。しかし紅斑はそれぞれ42人、23人、皮膚のアレルギー反応は40人、15人と、R-ベンダムスチン群で多く見られた。  以上のことから、ベンダムスチンとリツキシマブの併用は、R-CHOP療法に比べて、血液毒性が低く、G-CSFの使用も少なく、また脱毛も少ないなど、忍容性に優れていることが示された。このためRummel氏は、「ベンダムスチンとリツキシマブ併用は濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫など低悪性度非ホジキンリンパ腫に対する第1選択薬になる可能性がある」と述べた。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/ash2009/200912/513450.html
2009. 12. 9

付添人の年末ご挨拶

昨年末に再燃で大騒ぎしてから、ほぼ1年が経過しました。 昨年末はどうなるかと思いましたが、最近は安定期に入ったようで、しばらくは大丈夫かな。 最初の治療で2-3年は持つと思ったので、昨年末は本当の想定外でした。 まあ来年末までは小康状態と思いますが3月ごろにPET診断するつもりです。

新型インフルエンザも下火になってきましたので、やれやれです。 ネットの上では、リンパ腫の治療中はワクチンも効かないとか、それでも無理にやったとか、ワクチンが効いても罹らないわけでは無いとかいろいろ話題が交錯していましたが、いずれにしても、気を付けてかからないようにするのがベストです。 対策は、手洗いと混雑する電車の中とかではマスク。

一時は本欄も記事が少なくて(良いことです)、アクセスが減っていましたが、最近はまた増えだしました。 たくさんの同じような境遇の方も多いようです。 焦らずにやっていきましょう。

治療もリツキサンをはじめ新薬のおかげで、全体的には良くなっている感じがします。 ただこれ以上の画期的な新薬はあまり見当たりません。 最近は白血病の新薬の情報が多いので、研究がそちらに向かっているのかもしれません。 前回は非常に面白かった血液学会も今年は時間が無かったせいもありますが参加しませんでした。 予稿集をみてもあんまり面白いテーマは無かったし、飛内先生の話もあったのですが、定員がいっぱいでした。

いずれにしても、他のがんに比べると、はるかに抗がん剤の効きやすい病気です。 他のがんでは1-2ヶ月余命が延びたら万々歳ですから。 幸いたくさん新薬がありますので、とっかえひっかえやっていくしかないと思います。 それではまた来年も焦らずにがんばっていきますので、よろしくお願いします。

今年最後の診察

今年最後の診察。 問題なしで、このところ安定している。
LD 205 白血球 3650/ul

来年早々、月曜ごとにリツキサン点滴を4回入れる予定。これが3回目のリツキサン維持療法になるが、この療法は4回まで。

主治医によると、それは保険がそれ以後効かないからではなく、リツキサン自体が合併症を引き起こす可能性があるからだそうだ。 抗癌剤に比べると副作用が少ない、患者にとって有難い薬だけれど、やっぱり副作用のないお薬はないということなんだ。 しかもそのきっちりとした効能、副作用はまだ研究途上で、データ的に確立していないらしい。

穏和で優れた効果を持つフルダラとゼヴァリン

従来のサルベージ療法に比べ、穏和で優れた効果を持つフルダラとゼヴァリン
2つの新薬で大きく変わる悪性リンパ腫
監修:鵜池直邦 九州がんセンター血液内科部長
取材・文:柄川昭彦 (2009年05月号)

http://www.gsic.jp/cancer/cc_01/acd02/index.html

九州がんセンター 血液内科部長の鵜池直邦さん

悪性リンパ腫の中で最も患者さん数の多いB細胞腫瘍の治療は最近、大きな進歩を見せている。再発した場合に使用できる薬として、2007年にフルダラ(一般名フルダラビン)、2008年にゼヴァリン(一般名イブリツモマブチウキセタン)が承認されたからである。 この2つの新薬の治療開始から約1年が経過した今、どのように救いの道が開かれてきたのだろうか。

日本人に最も多いのはB細胞腫瘍
悪性リンパ腫は、リンパ球が悪性化する病気である。日本では高齢化に伴って増加する傾向にあり、現在、1年間に1万人ほどが発病している。

【中略】

[悪性リンパ腫の分類別の割合]
「ホジキンリンパ腫以外のB細胞腫瘍とT/NK細胞腫瘍を総称して、非ホジキンリンパ腫と言います。日本は欧米よりも非ホジキンリンパ腫の割合が多く、悪性リンパ腫全体の約9割を占めています。B細胞腫瘍とT/NK細胞腫瘍では、B細胞腫瘍のほうが多く、非ホジキンリンパ腫の6~7割を占めています。つまり、悪性リンパ腫の中で最も多いのがB細胞腫瘍ということになります」(鵜池さん)

B細胞型の非ホジキンリンパ腫の治療は、分子標的薬のリツキサン(一般名リツキシマブ)の登場によって大きく変わった。

リツキサンが日本で承認されたのは、2001年である。

「リツキサンは、B細胞腫瘍が特異的に持っているCD20という抗原に対する抗体です。体内のB細胞腫瘍を探し出して結合し、免疫の力で死滅させる働きをします。そのため、悪性リンパ腫の中でもB細胞腫瘍に対してしか効かないのです」(鵜池さん)

リツキサンが登場する以前は、化学療法のCHOP療法が行われていた。CHOP療法とは、エンドキサン(一般名シクロホスファミド)、アドリアシン(一般名ドキソルビシン)、オンコビン(一般名ビンクリスチン)、プレドニン(一般名プレドニゾロン)を併用する多剤併用療法である。

「リツキサンの登場で、B細胞腫瘍の治療はリツキサンとCHOP療法を併用するR-CHOP療法が標準治療となりました。それによって、治療成績は明らかに向上しました。ところが、リツキサンはT細胞腫瘍にもNK細胞腫瘍にも効果がないので、これらのタイプに対する治療は、現在でもCHOP療法が用いられることが多いのです」(鵜池さん)

B細胞腫瘍とT/NK細胞腫瘍の治療成績を比較すると、もともとT/NK細胞腫瘍のほうが治療成績はよくなかったが、リツキサンが登場することで、さらに差が開いたことになる。

T/NK細胞腫瘍、ホジキンリンパ腫の治療は、リツキサンが使えないという点で一致している。

そのため、リツキサンが登場する以前と、治療法はあまり変わっていないそうだ。

再発した場合に使用できる薬として、2007年にフルダラ(一般名フルダラビン)、2008年にゼヴァリン(一般名イブリツモマブチウキセタン)が承認されたからである。これらの薬はどのような場面で使われるのだろうか。

「B細胞腫瘍は、前述のとおり、進行の速さによって、低悪性度リンパ腫と中高悪性度リンパ腫に分類されます。低悪性度であれば、R-CHOP療法で80~90パーセントは完全寛解(悪性の病巣がすべて消失したと考えられる状態)になります。中高悪性度の場合、完全寛解になる割合は、それより10~15ポイント低い程度です。がんの悪性度によって多少の違いはありますが、B細胞腫瘍であれば、過半数は完全寛解になるわけです」(鵜池さん)

完全寛解になっても、悪性化した細胞が完全になくなったとは限らない。そのまま再発しなければ治癒したことになるが、再発してくるケースが多いのだ。

「完全寛解になっても、低悪性度は9割程度再発します。中高悪性度では6~7割くらいです。低悪性度は進行が遅く、1度は薬がよく効くのですが、そのほとんどが再発してしまいます。低悪性度のほうが再発しにくいように思えますが、そうではないのです」(鵜池さん)

R-CHOP療法で完全寛解に至っても、そのうちの多くは再発してしまう。完全寛解から再発までの期間はさまざまだが、2~3年のことが多いそうだ。

「フルダラやゼヴァリンが登場する以前は、再発した場合には、R-CHOP療法より強い化学療法が行われてきました。サルベージ療法と呼ばれる、これまで使用していない抗がん剤の組み合わせによる多剤併用療法です」(鵜池さん)

サルベージ療法はうまくいけばもう1度完全寛解に持ち込めるが、この治療の副作用は大変強く、患者さんにとっては辛い治療になる。R-CHOP療法で抜けていた毛髪がようやく生えてきたのに、また抜けてしまう。吐き気も発熱もある、といった具合だ。うまく完全寛解に持ち込めたとしても、また再発する可能性が高く、再発までの期間も短くなるのが一般的だ。

「これまで苦労してきた再発後の治療は、フルダラやゼヴァリンが登場したことで、大きく変わりました。これらの薬は副作用が軽いのに加え、フルダラは内服薬なので外来治療が可能、ゼヴァリンはたった2回注射するだけなので治療期間が短いという特徴があります。サルベージ療法としての多剤併用療法に比べてはるかに楽な治療なのに、完全寛解になる率が高く、次の再発までの期間も長くなるのです」(鵜池さん)

悪性リンパ腫の治療は、この2つの新薬の登場で、大きく変わったのである。

中高悪性度の場合には幹細胞移植も考える
低悪性度の再発にはフルダラやゼヴァリンが使えるが、中高悪性度の再発は適応外である。そこで、中高悪性度は年齢、病期、全身状態などから判断する国際予後因子(IPI)によって、予後を推測し、それに応じた治療法を選択することになる。

「予後が悪いと判断できた場合、最初の完全寛解後、患者さんが65歳未満であれば、引き続き、造血幹細胞(赤血球・白血球・リンパ球など、血液細胞の供給源となる細胞)の自家移植(自分の幹細胞を採って凍結保存しておき、それを用いて移植をする方法)が行われるようになっています。現在、この治療の効果を確認するための臨床試験が進行中です」(鵜池さん)

国際予後因子が比較的よい場合には、最初の治療で完全寛解になったところで治療を中止。再発したらサルベージ療法を行い、完全寛解になった時点で自家移植を行うのが標準治療になっている。この治療は欧米で臨床試験が行われ、すでにエビデンス(根拠)があるという。

フルダラは内服薬なので外来治療が可能になる
さて、進歩が著しい低悪性度B細胞腫瘍の最新治療に話を進めることにしよう。フルダラは、体内に入ると細胞の中に入り込み、核の合成を阻害することで、がん化した細胞を死滅させる。その働きは他の多くの抗がん剤と同じだが、多くの抗がん剤が分裂期の細胞に効果を発揮するのに対し、フルダラは静止期の細胞に働きかける。そのため、進行の遅い低悪性度のB細胞腫瘍に効果を発揮するのである。

「フルダラは単独で使うよりも、リツキサンを併用するほうがよりよい効果を発揮します。また、経口薬なので、外来でも治療が可能です。5日間連続服用し、休薬期間をはさんで、1ヵ月後にまた5日連続で服用します。これを最大6コースまで繰り返します。つまり、外来治療が可能なのですが、治療期間は比較的長くなります」(鵜池さん)

副作用は、従来のサルベージ療法には比べものにならない。吐き気などの消化器症状が出ることがあるが、程度は軽い。問題になるのは、リツキサンと併用した場合、免疫抑制状態が起きることがある点だ。治療後数年間は、ウイルス感染や真菌感染に注意する必要があるという。

[ゼヴァリンによる抗腫瘍効果]
ゼヴァリン(注射液)はユニークな薬である。リツキサンのような抗体薬に、イットリウム90という放射性同位元素(放射能をもつ同位元素)を抱合させた構造になっている。抗体部分はリツキサンと同様に、B細胞腫瘍がもつ抗原、CD20をターゲットにして細胞に取りつく。そして、イットリウム90から出る放射線が悪性細胞を攻撃する。

「普通の放射線療法は体外から照射しますが、ゼヴァリンは体の中で悪性細胞に取りついて、放射線を照射します。この治療を放射免疫療法と呼ぶのですが、ゼヴァリンは日本で唯一の放射免疫療法剤です」(鵜池さん)

体の中に放射性物質を入れて大丈夫なのだろうか、と心配になる人もいるだろう。しかし、イットリウム90は半減期(放射性元素の半分が崩壊する期間)が64時間と短く、放射されるのがベータ線(放射線の一種)なので到達距離がきわめて短い。

そのため、主に悪性細胞だけを攻撃することになり、副作用はごく軽いのが特徴だ。脱毛や吐き気などで患者さんを苦しめることはない。気をつけなければならないのは血小板減少で、日本人の場合、投与後数週~8週の間に、ほとんどの患者さんに現れるという。必要に応じて輸血などで対処する必要がある場合もある。

また、ゼヴァリンは特殊な薬だけに、投与は慎重に行われる。投与前にイットリウム90の代わりにインジウム111という放射性同位元素を抱合させた抗体を注射し、体内のどこに集まるかを画像検査でチェックする。それがリンパ節に集まっていればいいが、骨髄や正常臓器に集まっていたら、危険な有害事象(副作用)が起こる可能性があるので、治療を中止しなければならない。

このため、ゼヴァリンによる治療を行うために、血液内科医、放射線科医、薬剤師が、そろって専門の研修を受ける必要がある。安全に治療を進めるために、このような措置がとられている。

「ゼヴァリンは検査、治療と、計2回の注射が必要ですが、それですべてが終了となります。患者さんにとって、実に楽な治療ですね」(鵜池さん)

フルダラとゼヴァリン、どちらがより優れているか
[ゼヴァリンによるRI標識抗体療法の効果]
フルダラとゼヴァリンは、従来のサルベージ療法と比べ、優れた治療成績を残している。

「当院のゼヴァリンの治療経験では、再発患者さんの3分の2は完全寛解に入り、部分寛解まで入れると8割以上の人に効果がありました」(鵜池さん)

2つの新薬による治療はまだ始まったばかりなので、本当の実力がわかってくるのはこれからになるが、治療を受けた患者さんたちからは、「入院などの長期の治療が必要ない」「副作用が軽い」などの点が喜ばれているという。フルダラとゼヴァリンを比較して、どちらがより優れているか、という点については、現在、「ゼヴァリンVSリツキサン+フルダラ」という国際第3相臨床試験が進行中で数年後には結論が出る予定だ。

また、フルダラとゼヴァリンをどのような患者さんに使えばいいのか、という使い分けの方法も、今後明らかになっていくだろう。

ゼヴァリンによるRI標識抗体療法を受けられる医療機関

しばらくネットを調べていなかったので、見逃していましたが、発売元のバイエル薬品のページで、ゼヴァリンRによるRI標識抗体療法を受けられる医療機関の一覧が公表されていました。

http://zevalin.jp/unmember/list.php

国立がんセンターはもちろん、名古屋第二赤十字病院、以前に本欄でお知らせした、金沢大学付属病院や奈良県立医科大学付属病院も含まれています。 のべ26病院が対応可能との事。 がん研有明や治験に参加した京都府立大学は含まれて居ないようです。

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北海道
独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター 血液内科
市立旭川病院 内科(血液)

東北

関東
東海大学医学部付属病院 血液内科
国立がんセンター 中央病院
国立がんセンター 東病院
東京医科大学八王子医療センター 血液内科
東京医科大学病院 医療連携室
東京女子医科大学病院 血液内科
東京大学医科学研究所附属病院 血液腫瘍内科 内丸 薫
東京大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科
独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 血液内科

甲信越

東海
愛知県厚生農業協同組合連合会 安城更生病院
岐阜大学医学部附属病院 血液感染症内科
岐阜市民病院 血液内科
大垣市民病院
浜松医科大学医学部附属病院 がん相談支援室
名古屋第二赤十字病院 血液・腫瘍内科、 医療連携室(セカンドオピニオン)

北陸
市立砺波総合病院 血液内科
金沢大学附属病院 血液内科

近畿
近畿大学医学部附属病院 血液内科 辰巳 陽一、地域医療連携室
地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター 血液・化学療法科
奈良県立医科大学附属病院 放射線治療・核医学科、腫瘍センター
兵庫医科大学病院 血液内科 医局

中国

四国
四国がんセンター 医療連携室
徳島大学病院 内科外来(血液内科)

九州
独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 相談支援・情報センター
長崎大学病院 血液内科

Blinatumomabが低悪性度の濾胞性リンパ腫に有効

Blinatumomabが低悪性度の濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫に高い効果
横山 勇生=日経メディカル別冊

ドイツ Micromet社のDirk Nagorsen氏

 単鎖二特異性抗体であるBlinatumomabが、低悪性度の濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫に有効である可能性が明らかになった。フェーズ1試験の結果、単剤での有効性が示されたもの。成果は12月5日から8日までニューオーリンズで開催される第51回米国血液学会(ASH 2009)で、ドイツMicromet社のDirk Nagorsen氏(写真)によって発表された。

 Blinatumomabは、B細胞上に存在するCD19とT細胞上に存在するCD3の2つを認識する抗体製剤で、T細胞をB細胞性のリンパ腫に誘導し、攻撃させることを狙った製剤。

 フェーズ1試験は、50人の濾胞性リンパ腫患者とマントル細胞リンパ腫患者を対象にBlinatumomabを1日当たり0.5μg/m2から90μg/m2まで、一定量を4週間もしくは8週間持続的に静脈内投与した。

 50人中12人が神経学的な毒性で投薬を中止せざるを得なかったが、副作用は投与開始後2日以内に起こった。この副作用は、T細胞の脳血液関門(BBB)近傍での活性化によることが原因と考えられ、T細胞とB細胞の比率が8対1以下の患者では1日当たり15μg/m2以上の投与で神経毒性が生じる場合があったのに対して、8対1以上の患者では90μg/m2で初めて神経毒性が生じた。

 1日当たり60μg/m2投与した13人の濾胞性リンパ腫患者とマントル細胞リンパ腫患者では、可逆的な神経毒性が発生したために、早期に投薬中断となった1人を除き全員に奏効が認められた。5人が完全奏効(CR)で7人が部分奏効となった。

 最初の投薬での神経毒性を軽減させるために、4人の患者で1週目から2週目は1日当たり5μg/m2から15μg/m2を投与し、その後60μg/m2の投与を継続するという方法がとられた。その結果、神経毒性の副作用を軽減しながら、中断なしで全員奏効させることができた。

 1日当たり90μg/m2投与した4人の患者では、2人に神経毒性の用量制限毒性が認められた。

詳しくは、

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/ash2009/200912/513408.html