CT検査

本格的なCT検査。 結果は疑い濃厚。

昨年の秋から、
寝汗
体重減少
微熱
体のかゆみなど
の全身症状が出ていたが、分からなかった。

1月には、日赤でレントゲンを撮っているが、その時も分からない。

イブリツモマブによる地固め療法が有効

イブリツモマブによる地固め療法に関する日経メディカルの記事をまとめてみました。 詳しくは日経メディカルのホームページをご覧ください。

要約は、新しいもの順になっています。

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2008. 4. 8
第6回日本臨床腫瘍学会学術集会
悪性リンパ腫の治療戦略をアップデートする【臨床腫瘍学会2008】

濾胞性リンパ腫においても、イブリツモマブによる地固め療法で部分寛解から完全寛解へ転化し、無治療群に比べて、無増悪生存期間が有意に延長することが、第Ⅲ相臨床試験(FIT試験)で示された。イブリツモマブが濾胞性リンパ腫の標準的治療の1つになるかどうか、今後の成果が待たれる。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsmo2008/200804/506026.html

2008. 3. 24
CHMPが濾胞性リンパ腫対象にイブリツモマブの地固め療法について肯定的意見

 ドイツBayer Schering社は、3月20日、Commitee for Medical Products for Human Use(CHMP)から、欧州での未治療の濾胞性リンパ腫患者における寛解導入療法後の地固め療法を対象として、イブリツモマブ(商品名「ゼヴァリンイットリウム(90Y)」)の承認に対する肯定的な意見を受け取ったと発表した。

 イブリツモマブは、現在、リツキシマブとの併用で、成人の再発性難治性のCD20陽性濾胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫への適応が認められている。

 このCHMPの決定は、フェーズIII臨床試験であるFIT試験をベースとしている。地固め療法のファーストラインとしてイブリツモマブは、地固め療法を行わなかった群の無増悪生存期間13.5カ月と比較して37カ月と延長した(p<0.0001)。FIT試験は、寛解導入療法で完全寛解、不確定完全寛解、部分寛解が得られた患者を、無作為にイブリツモマブを投与する群(208人)と更なる治療を行なわない群(206人)に割り付けて評価したもの。イブリツモマブ投与群は、-7日目と0日目に抗CD20抗体製剤のリツキシマブを250mg/m2投与し、0日目にイブリツモマブを体重1kg当たり0.4mCi投与している(最高で32mCi)。 (加藤 勇治=日経メディカル別冊
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/200803/505799.html

2007. 11. 14
進行濾胞性リンパ腫の地固め療法にイブリツモマブが有効

 進行濾胞性リンパ腫の地固め療法の第一選択薬として放射性物質イットリウムで標識した抗CD20モノクローナル抗体イブリツモマブ(商品名「Zevalin」)が有効であることが大規模国際無作為化フェーズIII臨床試験FIT(First-Line Indolent Trial)の結果明らかとなった。主要評価ポイントであった無増悪生存期間の延長が確認された。ドイツBayer Schering Pharma社が11月12日に発表した。

 今回の試験結果を基にBayer Schering Pharma社は欧州医薬品庁にイブリツモマブの進行濾胞性リンパ腫の地固め療法の第一選択薬としての適応拡大申請を行なった。

 FIT試験の詳細は12月に開催される米国血液学会で発表される予定だ。

(横山 勇生=日経メディカル別冊)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/200711/504771.html

ゼヴァリン

B細胞性非ホジキンリンパ腫適応で「ゼヴァリン」が厚労省から製造販売承認取得

 バイエル薬品は、1月28日、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫とマントル細胞腫の適応でイブリツモマブ(商品名「ゼヴァリンイットリウム(90Y)静注用セット」「ゼヴァリンインジウム(111In)静注用セット」)の製造販売承認を厚生労働省から取得したと発表した。

 薬価収載後、発売される予定。早ければ4月頃、発売が見込まれる。

 イブリツモマブ-イットリウム90の適応症は、「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫ならびにマントル細胞種」だ。

 イブリツモマブ-イットリウム90(商品名「ゼヴァリンイットリウム(90Y)静注用セット」)は、CD20に選択的に結合する抗CD20モノクローナル抗体に放射性同位体元素であるイットリウム90(90Y)を結合させたもの。悪性リンパ腫細胞など、CD20を発現している細胞に結合し、イットリウム90が放出するβ線によって細胞を破壊するメカニズムだ。

 一方、イブリツモマブ-インジウム111(商品名「ゼヴァリンインジウム(111In)静注用セット」)は、イブリツモマブ-イットリウム90の治療の可否の判定に使うものだ。

 イブリツモマブ-イットリウム90を使った放射免疫療法を受けるには、まず抗CD20抗体であるリツキシマブを点滴静注し、正常細胞にわずかに発現しているCD20をリツキシマブでマスクすることで、イブリツモマブ-イットリウム90が正常細胞に結合する可能性を減らす。次に、イブリツモマブ-インジウム111を投与し、インジウム111が放射するγ線を体外からモニターすることでイブリツモマブ-インジウム111の生体内分布を調べる。この結果に基づいて、イブリツモマブ-イットリウム90の治療を行うかどうかを決定する。リツキシマブの投与からイブリツモマブ-イットリウム90の投与までにかかる期間は1週間で、その後、再発がないかどうかを定期的に検査する。

 イットリウム90の半減期が64.1時間(2.7日)であるため、「ゼヴァリンイットリウム(90Y)静注用セット」は受注生産だ。放射性同位体が含まれ、かつイブリツモマブ-インジウム111を使ってモニターすることから、放射性同位体を使った診断、治療ができる施設条件で、専門医が所属する医療機関で利用する抗癌剤となる。

(加藤 勇治=日経メディカル別冊)

ミニ移植

ミニ移植

種造血幹細胞移植療法によって、化学療法だけでは完全に直しきることはできないような病状の患者さんにも病気を完全に直すチャンスが高くなりました。しかし、移植に伴う合併症のために、このような治療法は55歳以下の若い人で、しかも内臓の障害のない患者さんだけに限られていました。ミニ移植は移植前の抗癌剤の強度を弱め、副作用を軽くすることにより、同種移植をより多くの患者さんに行えるようにしようとして始まった治療法です。

● GVHDとGVL/GVT効果
 移植片対宿主病(graft-versus-host disease; GVHD)は ドナーさんのリンパ球が患者さんの内臓を異物と判断して攻撃する反応です。GVHDは同種移植の重大な合併症の一つですが、一方で、ドナーさんのリンパ球が体の中に残っている腫瘍細胞を攻撃してくれる効果(graft-versus-leukemia;GVL /graft-versus-tumor;GVT効果)があることがわかってきました。

● ミニ移植の概念
このようなGVL/GVT効果を得るためには、まず、ドナーさんのリンパ球が安定して存在できる環境を作り出す必要があります。以前はそのような環境は強い抗癌剤や放射線治療による強い前処置を行わないと得られないと考えられていましたが、動物実験モデルで、強い前処置を行わなくてもドナーさんの血液細胞が生着できることがわかりました。そこで、実際の人間での移植にも応用されるようになったのです。移植前処置の強度を弱めると、前処置自体による抗腫瘍効果は減弱されるかもしれませんが、少ない副作用でドナー造血細胞の生着を図り、抗腫瘍効果としては主としてGVL/GVT効果に期待するという方法がミニ移植の概念です。この方法によって、70歳ぐらいの人にも同種移植が行われるようになっています。

●ミニ移植の問題点
ミニ移植という名前でも、決して楽な治療法ではありません。重篤な合併症であるGVHDはやはり生じることがありますし、感染症の危険もあります。また、前処置を弱くしたことが再発の増加につながるのかどうかもわかっていません。つまり、ミニ移植はまだ発展途上の治療法であり、解決すべき多くの課題を残しているのです。しかし、これまでに同種移植という治療を受けることができなかった高齢の方や内臓の障害のある患者さんにも移植による治療効果の改善の可能性を秘めた治療であることは間違いありません。

http://www.h.u-tokyo.ac.jp/mukin/

Campath-1Hを用いたHLA不一致造血幹細胞移植

Campath-1Hを用いたHLA不一致造血幹細胞移植

●HLA不一致(ミスマッチ)造血幹細胞移植
 同種造血幹細胞移植術の合併症として、GVHDと拒絶があります。GVHDや拒絶の危険はHLAと呼ばれる白血球の型(A座、B座、DR座の各2個の合計6座)が合っていない場合に高くなることが知られており、以前はHLA一致あるいは1座のみの不一致ドナーがいる場合にのみ移植が行われていました。しかし、このようなドナーが血縁者から得られる確率は30%程度しかありません。また、骨髄バンクを介しても良いドナーが見つからなかったり、あるいは病気の進行のためにバンクでドナーを探す時間がないような状況があります。そこで、近年、HLAが2座あるいは3座異なるドナーからの移植(HLA不一致移植)が試みられています。ほとんどの患者さんにおいて、HLAが2座、あるいは3座不一致のドナーは血縁者から見つかります。臍帯血移植もドナーが見つからない患者さんの治ための療方法の一つになりますが、生着不全が多いことや、移植後にドナーリンパ球輸注療法を行うことが出来ないなどの問題があります。

●HLA不一致移植の方法
 HLA不一致移植が失敗する最大の理由はGVHDであり、GVHDを引き起こすのは主にドナーのT細胞であることが知られています。そのため、HLA不一致移植の一つの方法はドナーの造血細胞から、GVHDの原因となるT細胞を取り除いて移植する方法ですが、この方法の場合、拒絶の危険が高まることやT細胞を失うために免疫力の回復が遅れたり、GVT効果が損なわれたりすることが危惧されています。そこで、この研究ではCampath-1Hと呼ばれるリンパ球を抑制する抗体を用いて、T細胞を(完全に取り除くのではなく)抑制した状態で移植することにより、GVHDや拒絶を予防しながらHLA不一致の移植を可能にする方法を開発しようと考えています。Campath-1Hはリンパ球などの細胞の表面にあるCD52という物質に対する抗体で、米国では慢性リンパ性白血病に対する治療薬としてFDAから認可されています。
 Campath-1Hを移植後のGVHD予防の目的で用いる試みは海外では数年前から行われています。イギリスのグループは、44症例の同種造血幹細胞移植においてCampath-1Hを併用した前処置を行い、急性GVHDをほぼ完全に予防することに成功しています。この結果に基づいて、彼らは47例の非血縁ドナーからの移植にもCampath-1Hを併用し、急性GVHDは3症例のみでした。また、アメリカのデューク大学では、HLA不一致移植24例においてCampath-1Hを併用した造血幹細胞移植を行い、GVHDの発症は21%と、HLA不一致移植においてもCampath-1Hの投与によってGVHDを抑制できることを報告しています。HLA不一致移植では免疫力が低下するため、感染症のためになくなられた方が3人(13%)いらっしゃいましたが、他のHLA不一致移植の方法で43症例中11症例(26%)が感染症でなくなられたことと比較すると改善していると考えられます。

●Campath-1Hによる副作用
 Campath-1Hを点滴する際に、アレルギーのような反応(発熱、かゆみ、皮疹など)が出現することがあります。重症の場合には呼吸困難や血圧低下がおこる危険もありますので、予め、副腎皮質ホルモン(ステロイド)による予防を行います。また、リンパ球に対する抗体ですので、移植後のリンパ球の回復(免疫力の回復)が遅れることが予想されます(これはHLA不一致移植の共通の問題点です。)

●治療上の問題点
 HLA一致の通常の造血幹細胞移植と比較すると、移植後の重篤な合併症であるGVHDの危険が高まること、感染症の危険性が高くなること、そして場合によってはGVL/GVT効果が減弱する可能性もあります。ですから、HLA一致あるいは一座不一致の血縁ドナーがいらっしゃる場合には通常の移植を行うべきでしょう。また、血縁者にドナーがいない場合にも、病状に余裕があるのであれば、骨髄バンクでHLA一致ドナーを探すことが優先されます。適切なドナーがいない、あるいは病状から骨髄バンクのコーディネートを待てない場合には、未だに極めて実験的な段階の治療であることを理解していただける方だけを対象として治療を行いたいと考えています。東大病院では既に倫理委員会で承認を受け、2002年3月から臨床試験を開始しました。この臨床試験にご関心のある方は、下記のメールアドレスにご連絡ください。

●これまでの治療成績
2005年5月時点で20名の方が参加されています。まだ患者さんの数も少なく、長期の成績も不明ですが、これまでの経過では、1名の方に拒絶が生じ、III度以上の急性GVHDも1名の方に出現しましたが、これはHLA一致兄弟間移植と同程度のGVHDの発症頻度です。これまでの経験から、Campath-1Hを用いることによって、HLAの二座、三座不一致があってもGVHDを十分に抑えられるという感触を得ています。しかし、Campath-1Hによって、正常な免疫力の回復も遅れるため、感染症(特にサイトメガロウィルス)や再発に関して評価していく必要があります。このCampath-1Hという薬を日本中の病院で使えるようにするために、医師主導の臨床治験を計画しています。

●臨床試験に参加するためには・・・
1. 適切なドナーがいない、あるいは病状のために骨髄バンクのコーディネートを待てないこと。
2. 病状が同種造血幹細胞移植以外の治療では完治が期待できないこと。
3. 移植治療に耐えられる体力が残っていること。
4. 腫瘍の状態がある程度コントロールされていること。(抗癌剤治療に全く反応しない腫瘍に対しては、移植を行っても効果は期待できません。)
5. 重症の感染症を合併していないこと。

http://www.h.u-tokyo.ac.jp/mukin/

末梢血幹細胞移植と骨髄移植

末梢血幹細胞移植と骨髄移植

末梢血幹細胞移植と骨髄移植はそれぞれ利点と欠点があり、一概にどちらが優れているとはいえません。それぞれの利点、欠点についてドナーの立場と患者の立場から説明します。(ここでは他人から移植を行う同種移植についてのみ説明します。自家移植では、ほとんどの場合、末梢血幹細胞移植が行われています。)

1. ドナーの立場から

 骨髄採取における合併症の多くは麻酔に伴う合併症です。これまでに世界で4例の死亡事故が報告されており、いずれも麻酔に伴うものと考えられています。麻酔薬によって肝障害を起こすことや、一部の特殊な体質の人で筋肉が融解するという合併症も知られています。骨髄の採取量は数百ccに達しますので、大量出血とおなじような負担が体にかかるため、予め自分の血液を貯めておいて手術中に体に戻すという操作も必要になります。また、骨盤の数十カ所以上に針を刺しますので、麻酔が覚めた後に痛みが続くことがあり、長い場合には2週間以上も腰の鈍痛が続くことがあります。また、発熱や骨髄穿刺部からの出血もしばしばおこります。

 末梢血幹細胞移植の大きな魅力は全身麻酔を必要としないことです。しかし、ドナーさんにG-CSFという白血球を増やす薬を注射しますので、その副作用が問題になります。G-CSFの大量投与によって多くの人に骨の痛みが出現するだけでなく、末梢血の白血球数が上昇し、血液が固まりやすい状態となって、実際にこれまでに採取中に心筋梗塞、脳梗塞などを起こしたドナーさんもいます。そのため、動脈硬化の危険因子を持っている人にはお勧めできません。G-CSFの影響で脾臓が大きくなって破裂し、手術が必要になったという事例もわずかながら報告されています。G-CSFの長期的な副作用の有無については未だ不明です。また、血球分離装置への血液の流出や迷走神経反射などによる血圧低下や、体外での血液の凝固を防ぐための薬の副作用でしびれなどの症状が一時的にでることがあります。末梢血幹細胞採取によって血小板が減少することも知られています。

 2003年2月10日に、日本国内の末梢血幹細胞移植のドナーさんが提供の約1年後に急性白血病を発症してお亡くなりになったことが公表されました。現時点で、末梢血幹細胞採取時のG-CSFの投与と白血病発症との因果関係は不明です。平成16年末の日本造血細胞移植学会の調査報告では、骨髄移植ドナーと末梢血幹細胞移植ドナーで、造血器悪性腫瘍の発生頻度に差がないことが示されました。日本国内では骨髄採取後に6927人中2名、末梢血幹細胞採取後に3430人中2名、欧州では骨髄採取後に40192人中9名、末梢血幹細胞採取後に23474人中5名という結果でした。

2. 患者の立場から

 骨髄移植よりも末梢血幹細胞の方が移植後の造血の回復が早いことが知られています。そのため、感染症の減少、輸血量の減少、入院期間の短縮が期待できます。末梢血幹細胞移植では、骨髄移植と比較して大量のドナーのリンパ球が移植されるため、重症の急性GVHDが発症することが危惧されていましたが、これまでの海外の報告では急性GVHD発症が著しく増加するということはないようです。一方、慢性GVHDについては末梢血幹細胞移植後に多くなるということが報告されています。これは、移植後のquality of lifeの低下につながる可能性がある一方で、graft-versus-leukemia/lymphoma(GVL)効果という免疫学的な抗腫瘍効果が高まる可能性もあり、より病状の進んだ状態での移植では末梢血幹細胞移植の方が良い成績が得られるのかもしれません。

  以上から、現時点では末梢血幹細胞移植と骨髄移植の比較に関しては、ドナーの立場からも、患者の立場からも優劣ははっきりしていません。(経験数という点では、圧倒的な歴史の長さから、骨髄移植が優れています。)現在、ドナーの安全性については日本造血細胞移植学会のドナーの追跡調査で評価を行っています。

3. 臍帯血移植

 臍帯血移植は通常はそのまま破棄されている臍帯血を用いますので、ドナーに全く負担がかからないという魅力があります。また、臍帯血バンクには既に凍結された臍帯血が保存されていますので、タイミング良く移植を行えるという利点もあります。一方、移植後の造血の回復が遅いことや、生着不全の頻度が高いことが問題となっています。当院では、骨髄移植、末梢血幹細胞移植の適切なドナーが見つからない場合に限って臍帯血移植を検討しています。

http://www.h.u-tokyo.ac.jp/mukin/

造血幹細胞移植とは?

造血幹細胞移植とは?

造血幹細胞とは、白血球、赤血球、血小板の全てを作り出す源の細胞です。自分自身が増殖しながら数を保つと共に、一部は白血球や赤血球や血小板に姿を変えて、体の血液細胞を保っています。造血幹細胞は骨髄の中に多く含まれることが知られていましたが、最近になって、化学療法の後や造血因子(血液を作るシステムを促進するホルモン)を使った後の末梢血にも存在することがわかりました。また、臍帯血(赤ちゃんが産まれるときのへその緒の中の血液)にも含まれることがわかり、注目されています。

造血幹細胞移植を行う病気は、白血病、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群などの造血器腫瘍、再生不良性貧血などの骨髄不全に対して行われています。

造血幹細胞

造血幹細胞移植は、前処置、すなわち大量化学療法や放射線療法を組み合わせた強力な治療で患者さんのもともとの造血系(血液を作り出すシステム)を絶滅した後で、ドナーさんからいただいた造血幹細胞を輸注する事により新たな造血系を構築する治療法です。悪性腫瘍を根絶するために大量の抗癌剤や放射線照射を行いますが、すると、その副作用で血液を作り出す力がなくなってしまいます。それをドナーさんの造血幹細胞を移植することで救うという考え方です。また、再生不良性貧血のような場合には、患者さんの弱った造血幹細胞をドナーさんの強い造血幹細胞と入れ替えることによって治すことができます。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、患者さんとドナーさんの関係で、同種移植、同系移植、自家移植に分類されます。他人(血縁者、非血縁者を含む)からの移植が同種移植、一卵性双生児からの移植が同系移植、予め保存しておいた自分の細胞を移植するのが自家移植です。また、造血幹細胞をどこからとるかで、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植に分類されます。近年になり、より高齢の方にも同種移植を行えるように、前処置を軽くした移植方法(ミニ移植)が試みられています。自家移植と同種移植を比較した場合、同種移植は輸注する造血幹細胞の中に腫瘍細胞が混じっている心配がないということと、移植後にドナーリンパ球によって腫瘍を攻撃する効果が期待できることがあるため、腫瘍を治療するという点では強力ですが、一方で、GVHDや感染症などの合併症が強く、より危険な治療でもあります

造血幹細胞移植の分類

造血幹細胞移植は、患者さんとドナーさんの関係で、同種移植、同系移植、自家移植に分類されます。他人(血縁者、非血縁者を含む)からの移植が同種移植、一卵性双生児からの移植が同系移植、予め保存しておいた自分の細胞を移植するのが自家移植です。また、造血幹細胞をどこからとるかで、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植に分類されます。近年になり、より高齢の方にも同種移植を行えるように、前処置を軽くした移植方法(ミニ移植)が試みられています。
自家移植と同種移植を比較した場合、同種移植は輸注する造血幹細胞の中に腫瘍細胞が混じっている心配がないということと、移植後にドナーリンパ球によって腫瘍を攻撃する効果が期待できることがあるため、腫瘍を治療するという点では強力ですが、一方で、GVHDや感染症などの合併症が強く、より危険な治療でもあります。

HLA

HLAというのは簡単に言うと白血球の型で、これが一致あるいはほとんど一致していないと移植は難しくなります。HLAがあっていないとGVHDや拒絶により移植が失敗に終わる可能性が高くなります。重要なHLAはHLA-A、HLA-B、HLA-DRの3種類で、それぞれ両親から1つずつの型を引き継いでいますので、合計6個の型を合わせることになります。通常は6個のうち5個以上一致していることが移植の条件になりますが、臨床試験として、HLA不一致の親子間、兄弟間の移植も行われています。

前処置関連毒性

移植前に、腫瘍細胞の撲滅と、ドナー骨髄が生着しやすくするために、化学療法や放射線照射による前処置を行います。薬剤の組み合わせや、放射線照射を用いるかどうかは、病期の種類・進行度やドナーとの関係によって決まります。前処置の副作用として短期的には嘔気、脱毛などの他に、口内炎・下痢などの粘膜障害、腎障害、出血性膀胱炎、心筋障害、肝障害などが起こることがあります。また、長期的な副作用として二次性発癌、性腺機能不全(不妊や更年期障害)、白内障、間質性肺炎などが生じることがあります。不妊に関しては移植後のほとんどの方に生じてしまう問題点です。これらの前処置関連毒性を軽減するために、ミニ移植という方法が開発されました。今のところ臨床試験段階であり、通常の移植と比較して長期的な治療成績がどのように異なるかは不明です。

GVHD

GVHDは日本語では移植片対宿主病といいます。白血球は自分以外を敵と見なして攻撃する性質を持っています。移植されたドナーさんの造血幹細胞がうまく患者さんに生着すると、患者さんの体の中をドナーさんの白血球が回るようになります。すると、このドナーさんの白血球にとっては、患者さんの体は「他人」とみなされますから、免疫反応を起こして患者さんの体を攻撃してしまいます。この現象による病気をGVHDといいます。移植後早期に起こるものを急性GVHDといい、皮疹、下痢、肝障害などを来たし、重症になると多くの内臓に障害が生じます。移植後100日をすぎて、場合によっては数年に渉って生じるものを慢性GVHDといい、皮膚症状、目の乾燥、口内炎、肝障害など多彩な症状がでることがあります。HLAの型があっていない場合や、血縁者以外からの移植の場合にGVHDの頻度が高くなることが知られています。一方、GVHDが生じることで、ドナーさんの白血球が体に残っている腫瘍細胞を攻撃してくれると言う効果も知られています。

拒絶

患者さんの免疫力は、移植前の化学療法や放射線療法によって抑制されていますが、それでもある程度の確率で、移植されたドナーさんの造血幹細胞を他人からの異物とみなして攻撃してしまうことがあります。この攻撃によって ドナーさんの造血幹細胞が負けてしまうと拒絶されてしまうことがあります

感染症

感染症は、造血幹細胞移植に伴う重要な合併症のひとつです。患者さんは大量の化学療法や放射線療法で、一時的に白血球がゼロに近い状態になりますので、 細菌や真菌(カビ)やウィルスに感染しやすい状態になります。通常、移植後2、3週間で白血球数は回復してきますが、その後にも免疫力の弱い状態は通常1~2年は続くと言われています。最初の3ヶ月間は真菌やサイトメガロウィルスを中心としたウィルス疾患にかかりやすい時期があり、移植後半年を過ぎても2年程度までは免疫力低下状態は続き、帯状疱疹などの疾患がしばしば生じます。GVHDが合併すると様々な感染症にかかりやすくなります

その他の合併症

その他にも免疫抑制剤の副作用や放射線、ウィルスなどによる間質性肺炎など、 移植の後には様々な合併症に対応して行かなくてはなりません。私たちは、呼吸器・循環器・消化器専門医など、おおぜいの医師たちと協力しながら治療に取り組んでいます。

再発

色々な合併症を乗り越えても残念ながら、移植後に元の病気が再発してしまうことがあります。病気の種類によっても異なりますが、移植をしてから3~5年間再発がなければ、その後に再発する確率は非常に低くなります。

http://www.h.u-tokyo.ac.jp/mukin/sct.htm

臍帯血移植とHLA不一致移植

臍帯血移植とHLA不一致移植

移植を行うことが必要なのに、HLAが一致したドナーが見つからない場合、血縁者間のHLA不一致移植や臍帯血移植が候補になります。

しかし、現時点でHLA二座以上不一致血縁者間移植と臍帯血移植を直接比較したデータはありません。ですので、以下に書かれている比較はあくまで推論にすぎません。

まず、いずれの移植方法も、HLAの不一致をともなう移植であり、共通して問題になるのは拒絶、GVHD、感染症です。HLAの不一致がある以上、GVHDをおさえるために強い免疫抑制を行う、T細胞を除去する、あるいは臍帯血のように未熟なリンパ球を輸注するというような対策が必要となります。すると、その免疫抑制の強さは異なるものの、腫瘍だけを攻撃するような特殊な方法が開発されない限り、GVHDを抑制すればするほど再発は増加するという関係が想定されます。つまり、やや乱暴な表現をすれば、GVHDの抑制によるプラス面と再発の増加によるマイナス面を合計すると、どの方法を用いても大きな差はないのかもしれません。

またドナー細胞が生着した後の感染症に関しても、GVHDに伴って発症する場合や、強い免疫抑制によって発症する場合もあり、この頻度にも大差はないと考えられます。一方、生着までの期間の感染症や出血に関しては臍帯血が明らかに不利になり、このマイナス面は他の要因によって補われることはないと考えています。すると、以上を総合すると、下の図に示すように、かなり多くの細胞数が得られない限り、臍帯血移植はHLA不一致血縁者間移植よりやや不利に働くと予想しています。

ただし、臍帯血移植はドナーに負担のない移植方法としての将来性が高く、特にドナーが高齢である場合や健康状態に少しでも問題がある場合には臍帯血移植は有力な選択肢となります。

http://www.h.u-tokyo.ac.jp/mukin/

濾胞性リンパ腫のアメリカでの治療法

『濾胞性リンパ腫 ( Follicular lymphoma )』

原文へのリンク: American Cancer Society のホームページ
http://www.cancer.org/docroot/home/index.asp

記事のおおまかな内容: 上記のホームページの該当ページには、大略以下のような内容が書かれています。

このリンパ腫に対しては、どのような標準的な治療法でも、治癒可能であることが示されたものはない。若干の新しくてより攻撃的な治療法が非常に有効であるようにみえるが、そのような治療法が標準的な治療法より優れているかどうかは未確認である。つまり、標準的な治療法は未だ存在しない。実際のところ、症状があるまで、治療を勧めない医者が多い。

リンパ腫が、腹部の同じ側の 1 つのリンパ節グループに限定されている場合(ステージ I )、当該リンパ節グループへの放射線療法で治療可能である。リンパ腫が局所的に限定されている場合、化学療法は通常勧められない。このようなケースでは、リンパ節が腫大し始めたり、症状が現れたりするまで、経過観察をすることが多い。

リンパ腫が、局所に限定されていない場合(ステージ II、III、IV )、化学療法を実施することがある。また、リンパ腫の大きな領域に対しては、放射線療法を実施することもある(症状軽減のため)。もう1つの選択肢は(リンパ腫が非常に大きかったり、症状があったり、重要臓器を傷害していたり、成長が速かったり、といった場合を除き)、経過観察である。経過観察というアプローチに不満を持つ患者さんもいるが、濾胞性リンパ腫の治癒は困難で、治療の目標は、できるだけ少ない副作用で、出来るだけ長い期間病気をコントロールすることであることを考えると、経過観察は合理的と言えるかも知れない。濾胞性リンパ腫の場合、治療が必要となるまでの平均期間は、3~4 年間である。

通常の化学療法レジメンは、単剤から成るレジメンである(クロラムブシル( Leukeran )や fludarabine (Fludara))。医者の中には、シクロホスファミド(Cytoxan)+ビンクリスチン(オンコビン)+プレドニソンという併用レジメンを優先する者もいる( 又は、CHOP レジメンを優先する者もいる)。

その他の選択肢は、rituximab (単独、又は、CHOP のような化学療法との併用で)やインターフェロン(単独、又は、化学療法との併用で)である。より新しい、放射性物質が結合したモノクロナル抗体( Zevalin や Bexxar )も治療選択肢となることがあり、新たに診断された患者さんに対して実験的に使用されている。

rituximab には副作用が少ないため、濾胞性リンパ腫の治療用に、rituximab だけを使用する医者も多い。

今までのところ、最も長い寛解をもたらしたレジメンは、 Bexxar 単剤、又は、CHOP レジメン、又は、CVP と rituximab との併用、である。しかし、これらのレジメンが日常的に使用されているわけではない。何故なら、これらのレジメンも治癒的ではなく、長期的な副作用の懸念があるからである。

濾胞性リンパ腫が再発する場合、びまん性大細胞型リンパ腫の形で再発することがある。そのような場合の治療は、より攻撃的な病気に対する治療と同じである。濾胞性リンパ腫のままで再発した場合、他の化学療法薬レジメンが勧められる。その新しいレジメンに反応する場合、幹細胞移植が考慮されることがある。しかし、幹細胞移植は、臨床試験の中で受けるのがベストである。もう一つの選択肢は、骨髄非破壊的な幹細胞移植である。

本コーナーの目的は、情報のありかと記事概略をご紹介することです。どうぞ本ページ冒頭のリンク先の原文をお読みください (原文内容は頻繁に改訂されており、ご紹介が間に合いません)